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リブゴルフが悲願の世界ランキング対象に! 優勝者に付与される推定「23ポイント」は高いのか安いのか?

2026.02.10 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
リブゴルフ(LIV Golf) 世界ランキング 砂場Talk(バンカートーク) 米国男子ツアー

OWGRがついにLIVゴルフをランキング対象ツアーとして承認。しかしポイントが付与されるのは各大会トップ10までという異例の制約付きだった。歴史的前進か、それとも厳しい評価の表れなのか。複雑な舞台裏を読み解く。

ポイントを得られるのは上位10位まで

 2月4日付けで、OWGR(オフィシャル・ワールド・ゴルフ・ランキング)は、リブゴルフを世界ランキングの対象ツアーとして承認する旨の声明を出した。

 リブゴルフの各大会で世界ランキングのポイントを稼げるようになったという知らせは、リブゴルフにとっては待ちに待った朗報のはずである。

 しかし、リブゴルフ側の受け止め方は少々複雑で、スコット・オニールCEOは、承認されたことへの感謝を述べつつも、「こうした制約を受けたのは、OWGR史上でも初のはずだ」と指摘し、落胆や不満の色をにじませた。

 というのも、OWGRから発表された内容は朗報ではあったが、制約付きでもあったからだ。

 OWGRはリブゴルフを「スモール・フィールド・トーナメント」と分類した上で、リブゴルフの各大会で上位10位タイまでに入った選手に世界ランキングのポイントを付与することを発表した。

レーザー光線でライトアップされた中、ナイターで行われたリブゴルフ2026年開幕戦リヤド大会(サウジアラビア) 写真:Getty Images
レーザー光線でライトアップされた中、ナイターで行われたリブゴルフ2026年開幕戦リヤド大会(サウジアラビア) 写真:Getty Images

 オニールCEOは、この「上位10位まで」という部分を指して、「歴史的制約だ」と嘆いたのだが、果たして、本当に嘆くべき制約と言えるのかどうか。

 振り返れば、リブゴルフは2022年6月にロンドン郊外で初戦が開催された当初から、世界ランキングの対象ツアーとして承認されることを渇望してきた。

 リブゴルフの大会で世界ランキングのポイントを稼いでランクアップを図り、メジャー4大会の舞台で活躍すること、勝利を飾ることは、初代CEOだったグレッグ・ノーマン氏をはじめ、リブゴルフ選手の誰もが望んできたことだった。

 OWGRに最初に申請を提出したのは初年度の22年。しかし、翌23年にOWGRから申請を却下されると、ノーマン氏は激怒し、24年に自ら申請を取り下げた。

 しかし、25年にノーマン氏に代わって新CEOに就任したスコット・オニール氏は、早々にOWGRに再申請を提出。以後、OWGRのチェアマンを務めるトレバー・イメルマン氏と「何度も話し合いを重ねている」と明かしていた。

 暦が26年に変わると、「近いうちにOWGRから結論が出されるはずだ」という見方が米ゴルフ界に広がり、オニールCEOも朗報を今か今かと待っていたが、「各大会のトップ10のみ」という制約は、きわめて予想外だった。

「OWGRの歴史において、こうした制約を受けたゴルフツアーやゴルフリーグは、これまでに一つもなかったはずだ。私たちは、今回の決定は、単なる最初の一歩にすぎず、今後はリブゴルフの選手が完全でフェアなサポートを受けられる体制へ向かっていくものと信じている。(中略)リブゴルフに対して動きが出たことは素晴らしく、私たちは今後もランキングシステムを得るために努力を続けたい。ゴルフには、透明性が求められる。ファンは信頼性を求めている。選手は公平に評価されるシステムを求めている」

「基準に満たないいくつかの点を差し引く必要があった」

 OWGRは、なぜ「トップ10」のみという制約を付けたのか。

 イメルマン会長いわく、結論に至るまでのプロセスは「信じがたいほど複雑だった。リブゴルフのトッププレーヤーを正当に評価すべきである一方で、リブゴルフには他の25のツアーが満たしているOWGRの基準要件を満たしていない点がいくつかあるとして、それが「トップ10のみ」という制約を付けた理由であることを明かした。

 リブゴルフが満たしていない基準要件とは、まず第一に各大会の出場人数が少なすぎるという点だ。OWGRが求める最小人数は75名だが、リブゴルフは現在57名。それほどの「スモール・フィールド」であるうえ、全試合において予選カットが行われていないことは、OWGRが定める基準に届かず、「基準以下」と判定された。

 創設当初から指摘されていた閉鎖性を解消するため、リブゴルフはアジアンツアーやプロモーションイベント(予選会)からリブゴルフ入りできるパスウェイ(道)を1人から2人へ、2人から3人へと増やしたが、「それでも十分に開かれたツアーとは言えない」と判断された。

 さらには、日本の香妻陣一朗が知らぬ間に戦力外とされ、チームから追い出されてしまったことは、リブゴルフの透明性の欠如と見なされた様子である。

 以前から国籍によるチーム編成が見受けられ、さらに今回、香妻を除外して韓国チームが新たに結成されたことは、リブゴルフの公平性の欠如と見なされ、そうした点がやはりOWGRの基準以下だと判定された。

 イメルマン氏いわく、「トッププレーヤーを評価すべきという観点から、基準に満たないいくつかの点を差し引く必要があった」。

 その「引き算」を行って出された答えが、「トップ10のみにポイントを授ける」というものだった。

 その「制約」を知らされたオニール氏の落胆ぶりを、米スポーツ・イラストレイテッドの大ベテラン記者、ボブ・ハリッグ氏は、こう表現していた。

「ゴルフ的に例えるなら、リブゴルフは贈り物の中身はプロV1であることを期待していたのに、蓋を開けてみたら、中身はピナクル(タイトリストと同じアクシネットが持つ廉価ボールブランド)だったという感じだろう」

 実にユニークな例えだった。

「それが、リブゴルフへの評価ってことだ」

 気になるのは、トップ10のみにポイントが付与されることが、それほど落胆に値することなのかどうか、そして上位10位タイまでに付与されるポイントがそれほど低いのかどうかという点である。

 米メディアの試算によると、リブゴルフの優勝者に付与されるのは、約23ポイントで、これはPGAツアーでシグネチャーイベントなどと同週に開催される「プエルトリコオープン」のような大会、あるいはDPワールドツアーの大会の優勝者に付与されるポイントと、ほぼ同等だそうだが、先週のDPワールドツアー「カタールマスターズ」優勝者のポイントは約20ポイントだったことを考えると、リブゴルフへのポイント付与は決して低くない。

 参考までに、PGAツアーのフォールシリーズ優勝者は約37ポイント、シグネチャーイベント優勝者は約66ポイントとなっている。

米ゴルフ界のインフルエンサー、「@robopz」によると、今回発表された「トップ10にポイント付与」というシステムが、あと2年早くできていたら、この2年間でジョン・ラーム、ブライソン・デシャンボー、パトリック・リードなど5名のリブゴルフ選手が世界ランキングのトップ50入りを果たし、さらに5名がトップ10入りしていたという計算になるという。

 過去2年は、ゼロだったポイント付与が、これからは制約付きとはいえトップ10に付与されるのだから、これまでは低下の一途だったリブゴルフ選手の世界ランキングを今後1年、2年、3年で上昇できるチャンスを得たと言うことができる。

 リブゴルフ選手のチャールズ・ハウエルは「決定のすべてに賛同はしていないが、大きな前進だ。ノーポイントより、ずっといい」と語り、毒舌家のイアン・ポールターも「どういう計算に基づくのかは、よく分からないが、大きなプラスだ」と喜んでいる。

 その一方で、ディーン・バーメスターのように「今後も(トップ10だけではなく)フルに(全員が)ポイントを得られるようになるのかは疑問だ。それが、リブゴルフへの評価ってことだ」と、ネガティブに受け止めている選手もいる。

 しかし、PGAツアーでもDPワールドツアーでも他のツアーでも、予選落ちを喫したら、賞金もポイントも得られず、手ぶらで去るのが当たり前である。

 最下位でも賞金が約束されているリブゴルフは、その分、他のツアーより、お金の面では格段に恵まれた状況にある。

 そして、さらに「トップ10には世界ランキングのポイントを付与する」と言ってもらったのだから、これはリブゴルフ選手にとってはビッグボーナスであり、リブゴルフはさらに恵まれた夢のツアーになりつつあると言っても過言ではない。

 それでもなお、たとえばリブゴルフの新人選手、元大学ゴルフナンバー1のマイケル・ラ・サッソーが、現在の世界ランキング1640位をトップ50圏内までアップさせるためには、これから2年間でリブゴルフが求める「最低40試合以上」に出場し、リブゴルフで3勝以上を挙げるか、単独2位6回以上、あるいは単独3位10回以上が必要。「とんでもなく大変だ」という声もある。

 しかし、「途轍もなく大変」な戦いに挑むのがアスリートであり、世界のトップランカーの仲間入りをするために歩む道は、どの道もすべて「とんでもなく大変」である。

 勝負の世界は、そう甘くない。甘くない戦いなど、どこにもない。そんな当たり前のことを「どうか、お忘れなきように」と言いたくなる。

文・舩越園子
ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学客員教授。東京都出身。百貨店、広告代理店に勤務後、1989年にフリーライターとして独立。1993年に渡米。在米ゴルフジャーナリストとして25年間、現地で取材を続け、日本の数多くのメディアから記事やコラムを発信し続けてきた。2019年から拠点を日本へ移し、執筆活動のほか、講演やTV・ラジオにも活躍の場を広げている。

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