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“引退”の2文字も現実味!? もしリブゴルフが消滅したら… “身の振り方”を語り始めた選手たち

2026.05.12 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
ブライソン・デシャンボー リブゴルフ(LIV Golf) 砂場Talk(バンカートーク)

PGAツアー復帰を拒む者、引退を示唆する者、保身へ動き出す者……。リブゴルフ消滅危機を前にした選手たちの本音と覚悟が次々に露呈している。巨額マネーが生んだ“新秩序”の終焉が近づく中、ゴルフ界の勢力図は再び大きく揺れ始めた。

「PGAツアーから科される罰金はあまりにも高額になるはずだ」

 昨年末から今年にかけて、米ゴルフ界で大きな話題になっていたのは、ブルックス・ケプカがリブゴルフから脱退し、PGAツアーに復帰した出来事だった。

 その際、PGAツアーのブライアン・ローラップCEOは、復帰のための条件などを記した「リターニング・メンバー・プログラム」なる特別待遇を、ケプカの他、キャメロン・スミス、ブライソン・デシャンボー、ジョン・ラームの3名にも「2月2日まで」という期限付きで提示した。

 しかし、3名が3名とも、せっかくのオファーを受け入れず、リブゴルフに残留すると即座に返答した。

 ところが、あれから3カ月ほどが経過した今年4月、リブゴルフを取り巻く環境は激変した。サウジアラビアの政府系ファンド「PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)」からの支援が2026年いっぱいで打ち切られることが正式に決まり、27年以降、リブゴルフは生き延びることができるのか、それとも消滅してしまうのか、リブゴルフ選手たちの今後はどうなるのか等々、さまざまな意見や憶測が飛び交っている。

 そんな中、3カ月前にPGAツアーから示された「リターニング・メンバー・プログラム」を勢いよく蹴り飛ばした3名は、今、自分たちが置かれている状況をどう受け止めているのかと言えば、それは見事に三者三様。それぞれの人柄や性格がそのまま反映されていて、なんとも興味深い。

PIFがリブゴルフへの投資を打ち切ると正式に表明してから初めて開催されたバージニア大会に出場したブライソン・デシャンボー 写真:Getty Images
PIFがリブゴルフへの投資を打ち切ると正式に表明してから初めて開催されたバージニア大会に出場したブライソン・デシャンボー 写真:Getty Images

 温厚でナイスガイのスミスは、「リブゴルフはきっと生き残れると僕は信じている。だから僕はPGAツアーへの復帰は考えていない」と、リブゴルフへの忠誠心とも受け取れる言葉を口にしている。

 一方で、日頃から自分勝手な言動が目立つラームは、リブゴルフの今後に関して言及する代わりに、DPワールドツアーから科され続けて積み上げられていた罰金を突然「全額支払うことで合意した」と発表。

 これまでは「絶対に払わない」と、ただ一人、最後まで拒み続けてきたというのに、ここへ来て態度を一変させたのは、なぜか。

 表向きは「ライダーカップに出るため」だが、実質的には今後の戦いの場を確保するためだと考えられる。DPワールドツアー経由でPGAツアーへ復帰という道を視野に入れていることは間違いない。忠誠心より保身と思われる彼の言動には、「ふむふむ。なるほど」とうなずかされた。

 それでは、現在のリブゴルフで最大のスター選手であるデシャンボーはどう考えているのか。彼はリブゴルフが新たな出資者を得て存続できることを願っている。だが、それが叶わなかった場合は「PGAツアーから科される罰金はあまりにも高額になるはずだ」と語り、それを支払うぐらいなら、PGAツアーには戻らず、メジャー4大会だけは「出場資格がある限りは出場する」と語っている。

 そして、すでに大成功を収めている独自のYouTubeチャンネルの一層の活性化に注力し、そこで立ち上げているYouTubeゴルフリーグを新たなツアーとして拡大させていく意向をほのめかしている。

「PGAツアーに戻るぐらいならゴルフをやめる」

 そんなふうに、リブゴルフのビッグスターである3人はそれぞれの身の振り方を心に決めつつある様子だが、他のリブゴルフ選手は、どう考えているのか。

 PIFからの支援打ち切りが報じられた直後から、PGAツアーやDPワールドツアーに復帰方法などを問い合わせる電話がたくさんかかっていることは事実。しかし、米欧両ツアーへ復帰することを、リブゴルフ選手全員が望んでいるわけではない。

 リブゴルフが創設された当初、米欧両ツアーへの敵対心をむき出しにしていたイアン・ポールターは、今でもリブゴルフを信奉し、意地でも存続させたいと切望している。

 PIFからの支援打ち切りが報じられた前後に開催された南ア大会やバージニア大会は「大勢のギャラリーが押し寄せて、すごい盛り上がりだった」と興奮気味に語り、フランチャイズ化されているリブゴルフのチームは「10チームが黒字なんだ。これは必ずやビジネスになる」と語気を強めた。

「リブゴルフが創設されてからのこの5年間、僕らはスタート初日からあらゆる逆風に吹きつけられながらも、すごい努力を続け、すごい進化を遂げてきた。今後はPIFからの支援はなくなるが、制約もなくなって自由になる。スコット・オニールCEOは、今こそ本領を発揮してくれるはずだ」

 しかし、ビジネスマンではなくプロゴルファーであるポールターのビジネスに対する見通しは、やっぱり甘く、かなり的外れだと言わざるを得ない。

「リブゴルフの今後のお金のことは、ビジネスのプロたちがやってくれると信じている。そして今後、PGAツアーの選手が何人かリブゴルフに来てくれたら、TV放映権契約も有利になるし、視聴率も上がるはずだ」

 今さら誰がリブゴルフへ来るというのだろうか。「ポールター様、お戯れを!」と言いたくなる。

 ただし、今年1月にシニア年齢の50歳になったポールターは、リブゴルフが消滅してしまうとしたら「もうゴルフはしなくてもいい。引退すれば(PGAツアーやDPワールドツアーに)罰金を払う必要もない。今後生きていくために必要なお金はもう十分稼いできた。馬鹿な使い方はせず、ちゃんと手元に残してある」とも言っている。

 ちなみにポールターがリブゴルフで稼いだ金額は1100万ドル超。リブゴルフに移籍する以前にPGAツアーで稼いだ金額は2800万ドル超。「なるほど」。これだけあれば、余生は贅沢三昧の暮らしが可能である。

 冒頭に掲げた3名のようなメジャーチャンピオンではなく、世界のトップ中のトッププレーヤーでもない“ポールター級”でさえ、これほどの金額を稼いできている。

 そう考えると、PGAツアーやDPワールドツアーではあまり冴えなかった選手でも、リブゴルフでこの4~5年戦ってきていれば、老後のための資金はすでに十分蓄えていると言えそうである。

 ベルギー出身のトーマス・ピータースも「リブゴルフ消滅なら、僕は引退する」と公言している。インド出身のアニルバン・ラヒリも、「リブゴルフの選手の多くが『PGAツアーに戻るぐらいならゴルフをやめる』と言っている」と明かした。

「ビジネスと割り切って復帰の方法をオープンに検討すべき」
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