「うれし涙は流さない」ツアー初優勝の西郷真央が語った“今まで足りなかったこと”とは?

2022年国内女子ツアーの開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」で優勝したのは20歳の西郷真央。昨季は2位が7回と優勝にあと一歩届かなかったが、ようやく初優勝を手にした。

「今まで優勝を逃したこともすべて大事なもの」

◆国内女子プロゴルフ<ダイキンオーキッドレディス 3月3~6日 琉球ゴルフ倶楽部(沖縄県) 6590ヤード・パー72>

 昨季(2020-21)はロングシーズンながら50試合に出場して賞金ランキング4位に入った、ジャンボ尾崎の弟子で20歳の西郷真央。プロ1年目ながらトップ10入りは21回、そのうち2位が7回もあったが、初優勝からは見放されていた。

 2022年国内女子ツアー開幕戦のダイキンオーキッドレディスで、西郷はようやく悲願の初優勝を手にした。

シルバーコレクターをついに返上。西郷真央がつかんだ笑顔の初優勝 写真:Getty Images

 最終日はトップと5打差の8位から出た。「優勝を意識してプレーしてはいなかった」とはいえ、前半だけで3つのバーディーを奪うと「トップがあまり伸びていない状態だったので、後半は取りこぼしがないようにスコアを伸ばしていければいいなと思っていました」と最後まで諦めなかった。

 後半は12番をボギーにしたが、13、16、17番でバーディーとして10アンダー。ピンチが訪れたのは最終18番パー5。第2打をバンカーに入れたが、第4打をピン側に寄せるスーパーショットでギャラリーを沸かせてパーでしのいだ。

 そして最終組の西村優菜と黄アルムがイーグルを奪えなかったことで、西郷が通算10アンダーで大逆転。51試合目にして初優勝を手にした。

 それにしても、去年と今年では何が違うのだろうか。西郷なりに考えた答えはこうだ。

「もちろん、今までの優勝を逃したことも、全て大事なものだと思っています。ただ、あと一歩の力が足りなくて、そういった部分を悔しいと思いながらこのオフはずっと練習してきました。(足りない部分が)言葉で表すとすごく難しいんですけど、技術的な何かというよりは、今までたくさん勝ってきた人にあって、自分になかった何かというものです。もし、去年早めに勝っていたら、その悔しい思いがないまま、今年を迎えることになっていたと思います。だから去年は去年で、すごくいい経験をしたと思っています」

 悔しい思いを胸に秘め、長所を伸ばしつつも課題を克服する練習を続けてきたという西郷。今回の優勝を機に、2勝目、3勝目と勢いづく可能性もある。

「プロの中でもゴルフ頭脳はトップ」(ジャンボ尾崎)

 もう一つ、印象に残ったのは、優勝の瞬間に涙を流さなかったことだ。ようやく手にした初優勝にも関わらず、ホッと安堵した表情を見せていた。

「喜びの涙を流すにはまだちょっと早いかな、というのが自分のなかにあります。あまりうれし涙を今まで流したことがないので、うれし涙を流せるぐらい、いい一年になったらいいなと思っています」

 1勝はまだ通過点ということだろうか。ここで満足してはいけないという強い意志の表れにも見える。

 それに師匠のジャンボ尾崎も「何と言ってもゴルフに対する考え方や取り組み方が優等生で、プロの中でもそのゴルフ頭脳はトップではないかと思う時がある。早めの2勝目を期待する」と祝福と称賛の言葉を贈った。

 ジャンボも認める西郷の才能。今季はさらなる成長を感じさせてくれる初優勝だった。

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JLPGAアワードでの西郷真央 写真:Getty Images
シルバーコレクターをついに返上。西郷真央がつかんだ笑顔の初優勝 写真:Getty Images

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