二ケタ順位からの大逆転は約3%の超レアケース! セキ・ユウティンの初優勝に隠されたスゴイ偉業とは?

「ゴルフ5レディス」で吉田優利とのプレーオフを制し、レギュラーツアー初優勝を飾ったセキ・ユウティン。二ケタ順位(10位)からの大逆転、実は過去のツアーでは約3%しかない超レア優勝だった。

渋野日向子も20位からの大逆転を経験

 日本ツアー参戦6年目、24歳のセキ・ユウティン(中国)がゴルフ5レディスで念願の初優勝を飾った。4打差10位で迎えた最終日に66を叩き出し、プレーオフで吉田優利を下しての大逆転Vだった。

 セキのように2ケタ順位からの逆転優勝は、そう簡単にできるものではない。トーナメントの出場人数などに一定の基準が設定された、いわゆるツアー制度が施行された1988年以降では38例目である。1988年から35年目で38例だから、ほぼ1年に1回しかないというレアケースだったのだ。

悲願のレギュラーツアー初優勝を飾ったセキ・ユウティン。優勝の要因として挙げられるのが大幅な「飛距離アップ」 写真:Getty Images
悲願のレギュラーツアー初優勝を飾ったセキ・ユウティン。優勝の要因として挙げられるのが大幅な「飛距離アップ」 写真:Getty Images

 そもそも、女子ツアーで優勝する選手は、どの位置で最終日に入るケースが多いのだろうか。1988年以降で調べると、やはり首位(タイを含む)からの優勝が最も多く、約51%だった。首位に立った選手は感じる重圧も大きいだろうが、優勝に一番近いということはデータからも分かる。

 以下、2位が約18%、3位が約10%と順位が下がるほど基本的に確率も下がっていく。2ケタ順位は約3%にすぎない。

 最も低い順位からの逆転は1991年のマルコーレディスで33位にいた平瀬真由美が最終日に68をマークして3人のプレーオフに持ち込んで優勝したものだ。歴代2位は1988年三菱電機ファンタスレディスの小田美岐で29位から、歴代3位は1995年カトキチクイーンズの城戸富貴で25位からとなっている。

 歴代トップ3に共通するのは初日か2日目が悪天候で中止になっているということ。その結果、いずれも本来54ホール競技だったものが36ホールに短縮されている。つまり、最終日を迎えた時点で18ホールしか消化していないということ。

 プロのトーナメントはラウンドが進むほど脱落していく選手が増えてバラけた状態になる傾向がある。18ホール終了時点ではまだ選手が同じようなスコアに密集している状態。歴代トップ3の首位とのストローク差は、1位の平瀬と2位の小田が5打で3位の城戸は4打。順位の印象ほどは離れていない状況だった。

 歴代4位は20位からの逆転で3例あり、これはすべて54ホールのトーナメント。つまり、54ホールのトーナメントでは20位からの逆転が最も低い順位からということになるわけだ。

 この3例の中で記憶に新しいのが2019年デサントレディース東海クラシックで渋野日向子がやってのけたものだ。8打差の20位にいた渋野が最終日に8バーディ、ボギーなしの64で回って上位の選手たちを鮮やかに抜き去った。

 同じ東海クラシックでは昨年も大逆転劇が起こっている。悪天候の影響で2日目が中止になり36ホールに短縮された同大会、5打差の15位にいた西村優菜が63を叩き出して優勝した。ゴルフ5レディスでのセキの優勝は、この時の西村以来となる2ケタ順位からの逆転Vだった。

福井県出身ゴルファーの優勝は2例目

 さて、セキだが、これまでステップ・アップ・ツアーでの優勝はあるが、シード権を手にしたことがなかった。賞金ランキングの最高位は2020-21シーズンの68位。そんなセキが初優勝を果たした背景には飛距離の大幅アップがある。

 以前のセキはきゃしゃな体形で飛距離が出なかった。それが、トレーングでフィジカルの強化を図り、スイング改造も相まってグンと飛距離が伸びている。昨シーズンのドライビングディスタンスは224.83ヤードで81位だったのが今季は244.54ヤードで19位にまで上昇しているのだ。その差は約20ヤード。驚異的な伸びである。

 ゴルフ5レディスでは3日間で251.00ヤードを記録した。これは決勝ラウンドに残った選手の中では6番目。もはや飛ばし屋と表現してもいいくらいの進化である。その飛距離を生かして最終日の13番パー5では2オンに成功してイーグルを奪っている。

 セキは中国籍だが生まれは日本の福井県である。女子ツアー優勝歴のある福井県出身選手は山岸陽子(2004年ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンの1勝)だけ。参考記録だろうが、福井県出身者2人目の女子ツアー優勝者となったわけだ。

セキ・ユウティン

1998年3月5日生まれ、福井県出身の中国人プロゴルファー。2016年に中国の女子ツアーで賞金女王に輝き、翌年から日本ツアーに参戦。2019年のステップ・アップ・ツアー「日医工女子オープン」で、日本での初優勝を飾る。2022年「ゴルフ5レディス」で悲願のレギュラーツアー初優勝を飾る。ミツウロコグループホールディングス所属。

【動画】20ヤードアップ!セキ・ユウティンのドライバーショット
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