岡山作陽高卒で渋野日向子の後輩
◆国内女子プロゴルフ<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 9月16~18日 新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県) 6502ヤード・パー72>

尾関彩美悠が激戦の末、初優勝を飾った。
昨年6月、渋野日向子が卒業した岡山作陽高校3年生のうちに日本女子アマで大逆転優勝を飾り、11月には2021年度プロテストにトップ合格。ルーキーとしてプレーを続ける中で、先週「刺激になりました」という大きな出来事に遭遇した。
日本女子プロゴルフ選手権という公式戦で、同い年の川崎春花が初優勝したのだ。年齢も一緒、プロテスト合格も同期の川崎の大金星に驚くと同時に、闘争心にも火が付いた。「自分も頑張らなければと思いました。今週は特に優勝を目指して頑張ったと思います」という言葉そのままに、初日から首位に2打差3位タイと好発進。2日目を終えて単独首位に立つ。
吉田優利、山下美夢有の優勝経験者たちとの最終組でのプレーは、前半、なかなかスコアを伸ばせず、10番、11番で連続ボギー。ずるずると崩れてもおかしくない流れだったが、尾関はあきらめなかった。それどころか気合を入れなおし、12番でバーディーを取り返す。
大事な終盤に入ってからはスイッチが入ったように15番で3メートル、16番で7メートルとバーディーを奪い、通算12アンダーで吉田と並んで18番に向かった。
手前3メートルのバーディーチャンスにつけた吉田の後から第2打を打ち、1メートルにつけて重圧をかける。吉田がバーディーパットを外した後の、初優勝がかかるバーディーパットも、あっさりとスライスラインに乗せて決めた。
昨年の同大会でベストアマを取っている尾関。この大会でベストアマとプロ入り後の優勝を果たしている選手は、過去に服部道子と福嶋晃子の2人しかいないが、いずれも賞金女王タイトルを手にしている。3人目の尾関も、目指すは日本ツアーの頂点とあって、2人に続く心づもりでいる。
その先に見据えているのが、渋野がプレーしている米ツアーだ。初優勝こそ、川崎に先を越されたが、まだまだ続く戦いでは決して負けない。そんな尾関の宣戦布告が聞こえてくるような、鮮やかな優勝劇だった。
惜敗した吉田は「回転もまっすぐでいいところに打てたのが、ちょっと切れちゃいましたね」と、最後のバーディーパットを振り返りながら悔し涙にくれた。昨年2勝を挙げているが、今季はKKT杯バンテリンレディス、ゴルフ5レディスと2度、プレーオフに敗れ、好調ながら未勝利。それだけに、勝利を渇望する気持ちは強く、悔しさもひとしおだった。
最後までパットをショートさせることのないアグレッシブな姿勢を貫き、今後につなげていきたい。
尾関 彩美悠(おぜき・あみゆ)
2003年6月16日生まれ、岡山県出身。渋野日向子の母校として知られる岡山県作陽高等学校出身で、21年の日本女子アマチュアゴルフ選手権を制覇し、同年11月のプロテストにトップ合格。QTランキング58位と出場機会が限られていた中、住友生命Vitalityレディス 東海クラシックで初優勝を遂げた。