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成田空港の拡張で34年の歴史に幕 反対派との攻防、バブル崩壊…時代の波に翻弄された富里GCの壮絶な“生涯”【小川朗 ゴルフ現場主義!】
富里ゴルフ倶楽部(千葉県)にとって、2023年12月31日が“最期の日”となりました。隣接している成田空港に3本目のC滑走路が新設される影響で閉鎖を余儀なくされたからです。日本ゴルフジャーナリスト協会会長の小川朗氏が、開場から34年の歴史に幕を下ろした日をリポートします。
残務整理はこれから1年はかかる
その後、ステージ脇で記念写真に収まっていたのが女子研修会のメンバー。2002年から会長を務めてきた篠塚美幸さんは「女子研修会のメンバーは皆穏やかな方で、ピーク時は40人もいらっしゃった。団体戦では千葉県クラブ対抗で2度優勝し、関東クラブ選手権の決勝戦では2位が2回ありました。早川会長ご夫妻をはじめ20人くらいの応援団も来てくれたんです」と、しみじみ振り返っていました。

さらに「このゴルフ場は基本的に難しいので、自分の技術向上には、本当に役に立ちました。ここで、70台で回った内容と、よそのゴルフ場で70台で回った内容は、全然難易度が違うんです。もう本当に、ピンポジ(ション)によっては、そこに落とさないと寄っていかないっていうのがすごくあるので。練習場を夕暮れまで使わせていただき、バックアップしていただいたおかげで、私自身も日本女子ミッドアマチュア選手権(2005年、南愛知CC美浜C)に優勝することができたんです」と、数々の思い出を語ってくれました。

続いて口を開いたのが、開場当時からグリーン管理に携わってきた石井浩貴専務取締役グリーンキーパー。14フィート超高速グリーンの常態化を目指している姉妹コース、カレドニアンGCでの仕事ぶりも含め、今やゴルフ界で知らぬ人はいないほどの有名グリーンキーパーです。
その石井氏が、コース管理の基礎を学んだのはこの富里だったといいます。
「最初はこっちにいたんですよ。いろいろ仕事を覚えることができたんです。その前は家で農業をやったんですけど、まだクラブハウスもなかったオープンの1年前に入社しました。その分、富里への強い思い入れがあります。最初の頃のグリーンはペンクロスです。いろいろやりましたね。フェアウェイもエバーグリーンにして、冬でも美しい芝にしたいと夢を追いました。ケンタッキーブルーグラス化を富里で先にやって、カレドニアンもエバーグリーンにしたのです。温暖化が進んだので2000年にまたコウライに張り替えました。すごい仕事をしました。結構目まぐるしくいろいろやらせていただいたんで、今はその教訓がすごく生きてるんですよ。富里で得られた多くの経験は、今後もカレドニアンのコース管理へと生かされていくはずです」
最後に幕引き役の常務取締役・座間英二支配人。
「今の気持ちですか? もう2日くらいしたら実感が湧くんですかね……。切ないのが一番ですね。会員様に申し訳ない気持ちは、やっぱり大きいです。会員様はいい方ばっかりだったんです。もったいない、寂しいっていう人が多いですよ。こういうことは本来あり得ないですからね。(開場)35年でオールリニューアルをしたりとか、そういう考えはあったんですけどね。結局それもすべてストップするしかない。これからの第一段階は、本当に、ここを閉めること。まだ決まっていないスタッフたちの再就職もあるし、地権者の方々との話し合いも残っていますし」
クラブハウスの解体や、木々の伐採などで、座間支配人の残務整理は、約1年はかかることになります。
1年4カ月遅れて開場した姉妹コースのカレドニアンが、人材の受け皿にもなり富里で得た知見やコース管理技術を生かす場としても機能していくはずです。それでも、年間約4万人として実質33年半で延べ約134万人のゴルファーが楽しんだ富里の戦略性豊かなコースと超高速グリーンをプレーすることはもうできません。
そのことに悔恨と切ない惜別の情を抱く人々が多くいました。ゴルフ場をつくった人がいて、それを支える人がいて、そこを楽しむ人がいました。今日では生物多様性を保つ里山として評価されるようになったゴルフ場は、まさに生き物です。100年先でも存続することが可能であったそれが、消えてなくなってしまうこと。それは有形無形の、大きな損失であることはまちがいありません。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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