- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- コラム
- 愛着があり現状維持を望むシニア会員とリニューアルを望む若い会員… クラブハウスの老朽化問題に横たわる“世代間格差”とは?
歴史ある名門はもちろん、バブル期に次々と建設されたゴルフ場も開場から30年以上の時を重ね、クラブハウス等の老朽化が問題視されるようになりました。今後、ゴルフ場の老朽化は、どういった方向に向かっていくのでしょうか。専門家に話を聞きました。
建て替え費用を誰が負担するのか?
「コースは、まずまず。でもクラブハウスが古臭くて、機能性や快適性は今イチ……」
そんなゴルフ場が目に付くようになってきました。バブル期に建設された多くのゴルフ場は開場から30年以上の時が経ち、クラブハウス等の老朽化が進む一方です。もちろん“名門”と呼ばれるゴルフ場のなかにも、リニューアルや修繕に頭を悩ませているコースが少なくないといいます。

プレーヤーにとってゴルフ場の本質は、やはり「コース」。ですから、まずはコースメンテナンスの充実に注力するのが当然なのでしょうが、会員制のゴルフ場となると少々話が違ってくるようです。
「そうですね。会員制のゴルフ場はゴルフだけを楽しむ場ではなくて、ほかでは決して得ることのできないメンバー同士の交流を深める、というもう一つの大事な要素を併せ持つ社交場なんです」と語るのは、 長年ゴルフ会員権を専門に扱ってきた加賀屋ゴルフ代表の前田信吾さん。
「会員制ゴルフ場にとって、コースメンテナンスが素晴らしいのは大前提。そのうえで、メンバーライフを形作るクラブハウスは、そのゴルフ場の『文化』を作る大切な場所となるわけです。単に機能性や快適性だけでなく、その場に相応しい雰囲気を醸し出しているかどうかがとても大事になってくるのです」
そういった観点から考えると、最優先されるのは「コース」ではあるけれど、やはり老朽化の一途を辿るクラブハウスのリニューアルは“避けては通れない道”ということになります。
「その通りですね。なので、クラブハウスの老朽化に頭を抱えているゴルフ場は多いと思いますよ。見た目云々といった表面的な問題だけじゃなく、利用者の安全にかかわる耐震工事が必要なクラブハウスもあるはずですから」
「バブル時代に建てたものだって、もう40年近くも経過しているわけでしょ。バブル前に建設されたものならなおさらです。できることなら新しく建て替えたいという気持ちは、ゴルフ場側も会員側も基本的には同じだと思います。クラブハウスは安全かつキレイで快適な方がいいに決まってますもん」
でも「実際には、そううまく進まない」と前田さん。莫大な資金が必要となるクラブハウスの建て替えに関しては、その資金調達を含め、会員の世代間で考え方が異なることが多いといいます。
「マンションの建て替え問題と同じですよ。オーナー側が全額負担するなら大賛成。でも各個人が協力して建て替えを行うとなると話が大きく変わってくるわけです」
「高齢の会員はクラブハウスが多少古くても愛着もあるわけだし、お金のかかる問題なら10年先20年先のことはわからないから現状維持を希望する人が多いと聞きます。でも若い世代は違います。老朽化したクラブハウスを使い続けるよりは、多少の個人負担があったとしても、将来を見据えて新しく建て替える案に協力したいと考える人が多いようです」
クラブハウス建て替えで魅力倍増の藤ヶ谷CC&高坂CC
お金が絡むことだけに、なかなか一筋縄ではいかないクラブハウスの建て替え問題。
前田さんによると、こういった問題と対峙することなくクラブハウスの建て替えを行ったゴルフ場もあるそうです。
「昭和40年(1965年)開場の藤ヶ谷カントリークラブ(千葉県柏市、※昭和36年に「京成藤ヶ谷パブリック」として運営開始。昭和40年に株主会員制クラブへ移行)は平成17年(2005年)にクラブハウスの建て替えを行いました。都心から車で30分程度とアクセスが抜群によく、落ち着いた雰囲気が魅力の名門ゴルフ場です」

「藤ヶ谷CCは現在の新クラブハウス建築の際には、全会員から各80万円ずつ拠出していただく方法をとったようです」
「なかには渋る方もいらっしゃったようですが、ご協力いただけない方は、今後名義書換が行えなくなる旨をお伝えすると、最終的には全会員にご賛同いただけたとのことです。『そういうことなら、このタイミングで協力しておこう』と、みなさんがご納得されたのではないでしょうか」
「ゴルフ場側は、その資金を原資にして新しいクラブハウスを建設しました。クラブハウスは会員の共有財産のようなものですから、全会員から等しく協力してもらう方式は、平等で素晴らしい案だったと思います」
「名門ならではのポテンシャルの高さが資金調達を可能にしたよい例だと思いますが、藤ヶ谷CCは、このクラブハウスの建て替えにより、ますます魅力が増したことは間違いないといえるでしょう」
そして、高坂カントリークラブ(埼玉県東松山市)も、クラブハウスの建て替えがさらなる魅力アップに繋がった素晴らしいゴルフ場だと、前田さん。
「昭和33年(1958年)開場の高坂CCはクラブハウスを平成25年(2013年)に新築しました。ここのクラブハウスは本当に一日中ご機嫌でいられる洗練された造りが魅力なんです。なんといってもクラブハウスからの眺望がサイコー! レストランも申し分ありませんね」
「高坂CCの建設資金も自己資金投入のほかに法人正会員の新規募集で調達したようです。もともと収益が上がっているゴルフ場であれば、こういった方法でクラブハウスの建て替えが可能なわけですね」
「このほか龍ヶ崎カントリー倶楽部(茨城県龍ヶ崎市)も、コース内に新しく茶屋を建てる際に新規会員を30名ほど募集したと伝え聞いています。既存の会員から金銭的な協力を募らなくても、別の方法で新たな価値を生み出すことができた理想のかたちではないでしょうか」
「名変料」&「年会費」のアップが建て替え資金に?
既存の会員からクラブハウスの建て替え資金を「協力金」として任意徴収する方法もあるのでしょうが、前出のように世代間ギャップがなかなか埋まらず現実的には少々厳しいのが実情です。クラブハウスの老朽化問題は、今後どのような方向に向かっていくのでしょうか。
「基本は、やはりできるだけゴルフ場の自己資金を使って建て替えるということになろうかと思います。そうはいっても建築資材等が高騰する昨今、それだけでは到底まかなえないといった問題もあるでしょうから、ここは『名変料』や『年会費』あたりが一つの狙い目になっていくのではないかと思います」
名変料や年会費を上げて、そこで得られた利益をリニューアルに充てるということでしょうか。
「そうですね。ゴルフ場側は何らかのかたちでリニューアル資金を回収しないといけません。ですから比較的取りやすいところから回収していくということになるんじゃないかと思います。老朽化を見て見ぬふりはできませんからね」
またゴルフ場の老朽化問題は、そのゴルフ場の財務状況によって今後2つの方向に向かっていく可能性があると、前田さん。
「収益が上がっているゴルフ場は全面リニューアルを目標に向かっていくと思います。それほど収益が期待できず経営的に厳しいゴルフ場の場合は、少しずつ修繕を繰り返していく方法しかないでしょう。細かい修繕を重ねながら老朽化問題に立ち向かっていくことになろうかと思います」
【監修】加賀屋ゴルフ代表 前田信吾さん
ゴルフ会員権取引を行う加賀屋ゴルフ代表取締役。ここ10年は、2日に1回の割合でラウンドを楽しむゴルフの達人(2024年は年間213回)。独自の視点を生かしたゴルフ場の比較&検討に定評アリ。
最新の記事
pick up
ranking











