- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- コラム
- “Chizzy”と“Aki”を育てた恩師が明かす岩井姉妹の素顔 「互いを高め合えるのが最大の強み」
岩井明愛、千怜姉妹を小学2年生から指導する永井哲二コーチを直撃。米ツアーでの活躍の裏側や現在の状態、独自の練習法、そして“姉妹でロス五輪”への期待を語った。
岩井姉妹を小学2年生から指導している永井哲二コーチ

昨季から米ツアーで活躍している岩井明愛、千怜姉妹が腕を磨いた場所が、埼玉県入間郡毛呂山町にある練習場「リンクスゴルフクラブ」です。そして2人は、小学2年生から同練習場所属の永井哲二コーチの指導を受けており、その師弟関係は現在も続いています。
今回は永井コーチに、「米ツアーでの活躍について」「現在の状態」「練習内容」「今後への期待」などを聞きました。
「去年の活躍は想像以上だった」

明愛のことを「アキちゃん」、千怜のことを「チーちゃん」と呼ぶ永井コーチは、昨季の岩井姉妹の活躍について次のように語ります。
「デビューした年から、2人ともある程度は活躍できると思っていましたが、想像以上でした。5月にチーちゃんが初優勝して、その後を追うように8月にアキちゃんが初優勝しましたが、こんなに早く結果が出るとは思いませんでした。2人の場合、それぞれの能力が高いだけでなく、互いを高め合えるという強みがあります。それにはあらためて驚かされました」
昔から続く“姉妹の関係性”

永井コーチが言う「互いを高め合える強み」は、2人の過去の成績にも垣間見ることができます。JGAやJLPGAの公式サイトで成績をたどると、しっかり者の千怜を、おっとり型の明愛が追いかけ、追いつく――そんな構図が昔から見られます。
ジュニア時代にはじめて大きな舞台に立ったのは千怜で、プロ入り後も千怜が先を行きました。ステップ・アップ・ツアーでは、まず千怜が初優勝し、その次の大会で明愛が初優勝。レギュラーツアーでも先に優勝したのは千怜で、明愛はその翌シーズンに3勝を挙げるなど、年間女王争いに加わるほどの成長を遂げました。
「ラインで質問してくる」

昨季は2人とも、国内ツアーの24年シーズンまでに見せていた勢いそのままの活躍を見せていました。今季現時点(5月18日時点)の米ツアーポイントランキングは、千怜が14位、明愛が22位。十分に健闘していると言えますが、永井コーチの目にはどのように映っているのでしょうか。
「チーちゃんは『ホンダLPGAタイランド』で2位に入りましたし、アキちゃんも欧州ツアーの『PIFサウジレディース』で2位に入りました。ただ、2人とも今季ここまでの成績を見ると、少しだけ心配です。昨季の活躍が想像以上だったから、そう感じるだけかもしれません。米ツアーのポイントランキングでも、2人ともまずまずの位置にいるわけですから、心配するほどではないのでしょうけどね」
「チーちゃんは、気になることがあるとLINEで質問してきます。先日もスイング動画が送られてきて、アドバイスしました。シェブロン選手権で予選落ちした翌週のことだったので、自分なりに調整した中で『これでいいか』を確認したかったのでしょう。もともとスイングについていろいろ考えるタイプで、今のスイングを見ていても少し変わりました。ちなみに、アキちゃんからはあまりLINEはきません」
「トレーニングしてからショット練習」

岩井姉妹が米ツアー転戦の合間に帰国し、リンクスゴルフクラブで行っている練習について、永井コーチはこう説明します。
「2人とも、打席でトレーニングをしてからショット練習に入るという感じで、いつも通りの練習をしていました。大量のボールが入ったカゴを持ちながら片足スクワットをしたり、マスコットバットでゴルフボールをトスバッティングしたりしてから、ショット練習をしていました」
この姉妹が実践している「ある程度の強度で準備運動をしてからボールを打ち始める」という流れは、一般ゴルファーにとっても参考になるポイントです。トスバッティングを取り入れるのは難しくても、素振り棒を振ったり、片足スクワットのような運動をしてからショット練習を始めたりすることで、全身が連動したスイングを覚えやすくなります。
「長くアメリカで戦い続けてもらいたい」

明愛と千怜は、一緒に帰国して同じ国内ツアーの試合に出場しています。昨季から今季現時点までで国内ツアーに9試合出場していますが、すべての試合で2人のどちらか、もしくは両者がトップ10入り(優勝含む)を果たしています。
昨季最終戦「JLPGAツアー選手権リコーカップ」での千怜、そして今季4月開催の「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」での明愛の優勝争いは、記憶に新しいところです。米ツアーを主戦場にしながら、国内ツアーでも結果を残す2人について、永井コーチは次のように語りました。
「国内ツアーに出場した時に、どちらかが優勝争いに加わっているのは、期待されていることを分かっていて、『頑張らなきゃいけない』という気持ちで集中力が高まるからだと思います。優勝争いに加わるだけでもすごいことなのに、帰国した時には当たり前のようにやってのけるので驚いています」
「ロサンゼルス五輪が開催される2年後、2人とも世界ランキング15位以内に入り、日本勢4番手以内に入る可能性があります。“姉妹でロス五輪”が実現すれば、ゴルフ界は盛り上がるでしょうし、最高だと思います。ただ、そういった派手なことを達成するよりも、長く米ツアーで戦ってほしい。あの子たちのインスタグラムを見ていると、米ツアー転戦を楽しんでいることが伝わってきます。今の生活が合っているのでしょうね」
永井コーチは、登録名を「Chizzy Iwai」と「Aki Iwai」に変更した2人が、引き続き互いに“勝ったり負けたり”しながら成長し、長く米ツアーを楽しめるようサポートしていきます。
永井哲二

1961年3月生まれ、東京都出身。28歳で脱サラし、本格的にゴルフを始める。ジュニア育成に定評のあった千葉晃プロに師事し、レッスンプロとして経験を積む。現在は埼玉県のリンクスゴルフクラブ・ヨネックスゴルフスクールでチーフインストラクターを務め、ジュニアからシニアまで幅広い世代を指導している。2023年にはゴルフダイジェスト「レッスン・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞。
取材・文/野洲明
ゴルフ活動家。各種スポーツメディアへの寄稿やゴルフ情報サイト運営を行う。多くのゴルファーを見てきた経験と科学的根拠をもとに、論理的なハウツー記事を中心に執筆し、ゴルフリテラシー向上につながる情報を発信している。
最新の記事
pick up
ranking











