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三菱ケミカルの最新シャフト「ディアマナ WB」と「テンセイ Pro Red 1K」を試打比較 “正反対”だけど“良い共通点”も
プロツアーで数々の勝利をもたらしてきたディアマナとテンセイの2ブランドから2024年の新作が登場。 ゴルフライターの鶴原弘高が試打して、最新モデルがどんな性能なのかをインプレッションします。
ディアマナが第6世代になって新登場
三菱ケミカルのフラッグシップブランドであるディアマナは、2004年にスタートして今年で20周年を迎えるそうです。ゴルフ界では、もはや老舗ブランドです。
この20年間でジェネレーション(世代)の代替わりを重ね、24年モデルからは第6世代に突入します。その第一弾となるのが「ディアマナ WB」です。カタログ上でのキックポイントはHIGH(手元)となっています。
三菱ケミカルのシャフトは昔から、手元調子がホワイト(W)、中調子がブルー(B)、先調子がレッド(R)というふうに色とアルファベットでキックポイント(調子)が分かるようにモデル名が付けられています。その慣例にならうと、「ディアマナ WB」は手元調子と中調子の間にあるシャフトとも考えられますが、実際にはどうなのでしょうか。今回は重量帯が異なる50グラム台と60グラム台のフレックスSを試打してみました。
手元側がしなるシャフトだが、プッシュのミスが出づらい
「ディアマナ WB」53(S)を打ってみた第一印象は、50グラム台のわりに「思ったよりも強い!」です。シャフトの全域にしっかり感があって、中間から手元の広い範囲がうっすらとしなる程度にしか感じません。ゴルファーが意図しない無駄な動きを省いたシャフトといえるでしょう。この重量帯としなり感であれば、ヘッドスピード40~43m/sの人にちょうど良さそうです。
60グラム台の63(S)になると、さらにシャフト全域が動かなくなります。ヘッドスピード45m/sで打ってみても、まったく頼りなさを感じません。
打ち出し角は低めに収まり、スピン量も少なめになります。なので、強弾道を打ちたいアスリートタイプのゴルファーに好まれそうなシャフト性能です。特徴的なのは、手元がしなるタイプのシャフトのわりにプッシュのミスが出づらいところ。手元調子に分類されていますが、手元側だけがグニャリと過剰にしなるわけではないので、比較的ストレートボールを打ちやすいです。ヘッド性能を生かしやすく、ボールコントロールもしやすいのが魅力です。
実際にはそんなふうにつくられていないのですが、あくまでもフィーリング的には、シャフト全域の最外層にもう一枚、しっかりした硬い層を巻いてあるような感覚を持ちます。内部に芯が通っているようなハリ感があるわけではなく、外側を強化してあって、ブレやねじれを抑えているような雰囲気です。だからこそ、硬いというよりも「強い」という表現が合うシャフトです。
レッドは「テンセイ プロ 1K」シリーズの先中調子モデル
三菱ケミカルのフラッグシップブランドはディアマナだと前述しましたが、実は「テンセイ プロ 1K」シリーズのほうが高価格帯のシャフトになります(ディアマナは税込み4万4000円、テンセイは税込み5万5000円)。ブランドイメージでいうと、オーソドックスなディアマナに対して、先進性を持たせているのがテイセイです。
「テンセイ プロ 1K」シリーズには、すでに「テンセイ プロ ホワイト 1K」「テンセイ プロ オレンジ 1K」「テンセイ プロ ブルー 1K」が発売されていて、「テンセイ プロ レッド 1K」は4モデルめのシャフトになります。レッドという名が付いていることから分かるように、カタログでのキックポイントはMID-LOW(中先調子)となっています。
負荷に強く、打ち出し角を上げてくれるシャフト
50(S)を試打してみると、先に試打した「ディアマナ WB」よりも如実に手元型が硬いのを感じます。しなりを感じるのは中間部で、先端自体はそれほど動きません。中間から先端が一体となってボールに向かっていくような挙動になります。
そのおかげで打ち出し角は高めになりますが、球のつかまりには影響しません。球を上げたいけれど、引っかけたくないゴルファーには最適なシャフトです。50グラム台のフレックスSは、ヘッドスピード40~43m/sの人がストライクゾーン。このスペックならシャフトが仕事をしてくれている感覚を得やすいです。
ただし、60(S)に持ち替えると、一気にシャフト全域が動かなくなるので要注意。あくまでも筆者の体感ですが、どちらかいうと棒っぽいフィーリングに近づきます。なので、局所的にしなるシャフトが好きではない人にオススメします。また、切り返し時に自分からシャフトを押すような負荷を掛けたい人とも相性がいいです。手元側の強靱さが弾道安定性を高めてくれるはずです。
どちらのシャフトも嫌なミスを抑えてくれる
「ディアマナ WB」と「テンセイ プロ レッド 1K」は、正反対といっていいぐらいにシャフト挙動やフィーリングが異なるモデルです。この2つを試打すれば、自分には手元調子が合うのか、手元が硬い中先調子が合うのかを判断できます。どんなシャフトを選べばいいか迷っている人は、まずはこの2モデルを試打してみるといいでしょう。
そんな2モデルですが、共通点もあります。「ディアマナ WB」は、強弾道を打ちやすい手元調子のシャフトでありながら、プッシュのミスが出づらいのが特長です。対して「テンセイ プロ レッド 1K」は、打ち出し角を上げてくれる中先調子のシャフトでありながら、引っかけのミスが出づらくなっています。キックポイント(調子)によるそれぞれの長所をいかしながら、従来モデルではトレードオフになっていた短所(ゴルファーが出したくないミス)を消すようにもつくられています。このあたりが2024年モデルの新しさです。
試打・文/鶴原弘高
つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフクラブ関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。ギア好きゴルファーの会員制コミュニティサイト『3up CLUB』(https://3up.club/)では、配信される動画のキャスター兼編集長を務めている。Instagram:@tsuruhara_hirotaka
【取材協力】フライトスコープジャパン
今回の取材はフライトスコープジャパン本社内のパフォーマンススタジオをお借りし、「FlightScope MEVO Range」と「Pro V1 RCT」ボールを用いて計測を行いました。
公式サイトhttps://flightscope.co.jp/
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