「そんな飛ぶなら白ティーで回れば」というセリフにうんざり
先日一緒にラウンドした女性から切実な悩みを聞く機会がありました。
「私は男性3人と一緒にラウンドする機会が多いのですが、最近ゴルフのたびに『そんなに飛ぶなら白ティーで回れば』といわれるので、うんざりしているんです」
彼女は確かに一般女性ゴルファーの中ではドライバーが飛びます。普通の当たりで200ヤード前後飛んでいますし、いい当たりが出たときは220ヤードくらい飛んでいるかもしれません。
学生時代にスポーツをしていただけあって体つきは華奢なのにスイングがとてもパワフルで、レディースティーがレギュラーティーよりも30~40ヤード前にあるときは、4人の中で彼女が一番飛んでいるホールもありました。
おそらくそれが理由で『そんなに飛ぶなら白ティーで回れば』と頻繁にいわれるのだと思います。男性の中には女性に飛距離で負けるのを嫌がる人がいます。女性に毎ホール、オーバードライブされるとプライドが傷つくのでしょう。
でも、彼女は白ティーで回りたくない理由を次のように語ります。
「白ティーで回るとパー4が2打で届かなくなりますし、パー5も3打で届かないホールが出てきます。スコアが悪くなるのが分かり切っています」
彼女は今、ゴルフにめちゃめちゃハマっていて、多いときは月10回近くラウンドに行っています。レディースティーでコンスタントに90台で回れるようになり、調子がよければ80台が出ることもあります。でも、レディースティーならパープレーで回れるわけでもありませんし、70台が出たわけでもありません。
「赤ティーでまだ伸びしろがたくさんあるのに、なぜ白ティーで回ることを強要されなければならないのでしょうか」
彼女はレディースティーのベストスコアを更新したいのに、わざわざ背伸びしてレギュラーティーで回らなければならない理由は何一つありません。
本人がレディースティーで回りたいといっているのに、白ティーで回ることを強要する行為を“白ティーハラスメント”と命名することにしました。
同じティーで回れば飛距離で勝てると思わないほうがいい
また、彼女に対して『そんなに飛ぶなら白ティーで回れば』という男性に伝えておいたほうがいいことがあります。それは同じティーで回ったからといって飛距離で勝てるとは限らないことです。
男性ゴルファーは自分のドライバーの平均飛距離が240~250ヤードだと思っている人が多いですが、スコア90~100前後のゴルファーでそんなに飛ぶ人は見たことがありません。最大飛距離は240~250ヤードかもしれませんが、平均飛距離は220ヤード前後です。
日本ゴルフ協会(JGA)の設定によると、スクラッチゴルファー(ハンディキャップ0のゴルファー)のティーショット飛距離が男性250ヤード、女性210ヤードです。ボギーゴルファー(男性のハンディキャップ20前後、女性のハンディキャップ24前後)のティーショット飛距離が男性200ヤード、女性150ヤードです。
さらにドライバーというクラブはシャフトが一番長いので芯に当てるのが難しいです。プロゴルファーでも当たりの良し悪しで飛距離が20~30ヤード変わります。
男性ゴルファーのドライバーショットが芯を外し、彼女のドライバーショットが芯を食ったら、同じティーでも軽々とオーバードライブされます。
レディースティーからオーバードライブされてプライドが傷ついている人が、同じティーからオーバードライブされたらどうなるでしょうか。あからさまに不機嫌になるのが目に見えています。
ですから彼女のような飛ばし屋女子と一緒に回るときは、「そんなに飛ぶなら白ティーで回れば」ではなく、「同じティーでもオーバードライブされそうだから赤ティーで回って」というのが正しい選択です。