現代では「8番アイアン」が中間のクラブ
ゴルフはドライバー、ウッド、アイアン、ウェッジなどさまざまなクラブを使って距離を打ち分けていきます。
ゴルフを始めたばかりのビギナーであれば、自身の飛距離も分からず、ショットもなかなか安定しないことが考えられますが、まずはどのクラブから練習に取り組むべきなのでしょうか。
現役のシニアツアープロでゴルフスクールも経営する梶川武志プロは「最初に練習をすべきクラブは8番アイアンです」と言い、以下のように話を続けます。
「理由としては、8番アイアンがドライバーからサンドウェッジの中間のロフト角をもっているからです。最初に8番アイアンを打てるようにすることは、ドライバーからサンドウェッジまですべてが打てる近道になります」
「ロフト角とはフェース面の角度のことで、ドライバーが最も立っていてサンドウェッジが一番寝ています。ドライバーのロフト角が10度でサンドウェッジが58度とすると、その中間は34度。これはおおよそ8番アイアンのロフトになります」
「ひと昔前は7番アイアンがこの角度に相当していましたが、最近はパワーロフトといって、同じ番手でもロフトが立っているクラブが多いです。そのため、以前は『7番アイアンから練習を始める』というのが普通でしたが、現代では8番アイアンから始めるのが最適と言えるでしょう」
さらに梶川プロは「8番アイアンで練習を始めるのにはメリットがある」と言い、次のように語ります。
「ビギナーにとって『クラブのフェースでボールを捉える』という感覚をつかむのは、上達のために非常に重要です。サンドウェッジはシャフトが一番短いこともあって簡単だろうと思われがちですが、フェースが寝ているのでリーディングエッジと呼ばれているフェースの歯の部分にボールが当たりやすくなります」
「一方、8番アイアンの場合は多少トップしてもロフトが立っているので、ボールはフェース面に当たりやすくなります。つまり、8番くらいのアイアンを使うとフェースでボールを捉える感覚を早く身につけられるのです」
「どうしてもうまくフェース面でボールを打てないという人は、練習場で一番低い高さにティーアップをして打ってみてください。マットとボールの間に隙間ができるのでフェース面で打ちやすくなります」
「8番アイアン」の次は「アプローチウェッジ」の練習を
では、8番アイアンが打てるようになったら、次はどのクラブを練習すればいいのでしょうか。梶川プロは「アプローチウェッジの練習をしましょう」と言い、その理由について次のように話します。
「アプローチウェッジはサンドウェッジよりもフェースの歯に当たる可能性が低いので、リーディングエッジをきちんとボールとマットの間に入れる訓練ができます。ドライバーやウッドはシャフトが長いので、ビギナーにはクラブのコントロールが難しく感じますが、それらの練習はアイアンに慣れた後から始めても遅くありません」
「また、クラブが14本のフルセットではなく7本のハーフセットの場合、8番が無いこともあるでしょう。その場合は9番アイアンから始めるといいと思います」
中にはベテランゴルファーから「最初は7番アイアンから練習を」と教わったビギナーもいるかもしれませんが、現代はクラブが進化したこともあり、最も適切なのは「8番アイアン」と言えそうです。
もちろん、ゆくゆくはすべてのクラブを満遍なく打てるようになることが望ましいですが、ビギナーはまず8番アイアン、そしてアプローチウェッジと順を追って重点的に練習することが上達の近道なのかもしれません。