宿泊プレーを無断キャンセルした客が逆ギレ
ゴルフ場を訪れるのは品行方正な人たちばかりではありません。ゴルフ場スタッフが頭を抱える困った客もたくさん来ます。
2023年で一番理不尽に感じたひどいクレームは何だったのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。
「これはゴルフ場を訪れた人の話ではなく、訪れなかった人の話ですが、ゴルフ場予約サイト経由で1泊+1プレーの宿泊パックを予約されたお客様が当日お見えになりませんでした」
「宿泊のチェックインの時刻を大幅に過ぎた時点でお客様に電話をかけましたが、電話に出ませんでした。メールも送りましたが、返事がありませんでした」
「結局、ゴルフ場予約サイトの担当者に連絡し、お客様とメールでやりとりしてもらいました。そうしたらお客様が登録した電話番号が間違っていたことが判明しました」
「正しい電話番号を教えてもらい、支配人が電話をかけました。『今回のケースはキャンセル料を請求させていただきます』とお伝えしたところ、『オレは事前にキャンセルの連絡をした。だからキャンセル料は払わない』と、自分に非はないみたいな感じで逆ギレしてきました」
「こちらも最初は『そう言われましてもお客様が電話番号の登録を間違えたことが原因でこのような事態が起こったわけですから、お客様にも非がありますよね』と丁重にお伝えしたのですが、とにかく『払わない』の一点張りです」
「こちらもしびれを切らして、『何が何でもキャンセル料を支払ってもらいます』と請求書を送りつけました」
弁護士名で督促状を送ったら即座にキャンセル料を支払った
「ところが請求書を送ってもまったくリアクションがありません。支配人もさすがに堪忍袋の緒が切れてゴルフ場の顧問弁護士に相談し、弁護士の名前で督促状を送りました」
「弁護士の名前を出したらすぐにキャンセル料を振り込んできて、『すみませんでした』とお詫びの連絡が入りました」
「今回の件はクレームとはちょっと違うかもしれませんが、お客様が無断キャンセルしたのにキャンセル料の請求に対して逆ギレされるのは本当に困ります」
「宿泊なしでプレーのみでしたら、当日の天候やお客様の体調によって直前キャンセルがやむを得ないケースもありますし、こちらもキャンセル料を請求することはありません」
「でも、宿泊をともなうプレーの場合、夕食の準備がムダになりますから、直前のキャンセルであっても一定のキャンセル料をいただきます。ましてや無断キャンセルを野放しにするわけにはいきませんから、今回のようなケースはキャンセル料をきっちり取ることでお客様のマナー向上につながってほしいと思います」
ゴルフ場は何年も前からキャンセル問題に頭を悩ませています。特に新型コロナウイルスが流行してからは、発熱や咳が出るなどの症状があるにもかかわらずゴルフ場に来場されると困る状況でしたから、直前キャンセルも大目に見るしかありませんでした。
ただし、直前キャンセルと無断キャンセルは大きな違いです。直前キャンセルは来場しないことがゴルフ場に伝わっていますから、後続組のスタートを早めるなどその日の営業がスムーズになるように臨機応変に対応できます。
一方で、無断キャンセルはお客様が来場することを前提に乗用カートの手配などさまざまな準備を進めていますから、「どうやら無断キャンセルの可能性が高そうだ」と分かった時点で早急な対応が求められます。
近年はゴルフ場予約でも2~3カ所の施設を仮押さえし、参加者の意向を確認してから1カ所に絞り込むケースが増えています。そのこと自体は特に問題ありませんが、選ばなかった施設の仮押さえを解除しないまま当日を迎えてしまうことが無断キャンセルの原因になっているケースが非常に多いようです。
悪気はないのかもしれませんが、ゴルフ場は非常に迷惑しますので、1カ所に絞り込んだらそれ以外の予約はただちに解除し、キャンセル料を請求されるような事態にならない配慮が必要です。