なぜアマチュアは球をつかまえられないのか? どれかに当てはまる“3つの原因”と直し方とは

ゴルフの基本でありながら、多くのアマチュアができていない「球をつかまえる」こと。プロゴルファーの奥山ゆうしさんはその原因として大きく3つのパターンがあると言います。

体の正面で球をとらえることができていない

 ゴルフのスイングは百人百様です。教科書通りの構え、個性的なリズム、力強い打ち方、軽やかな振り方。きれいなスイングで飛ばす人もいれば、見た目は独特のスイングでも飛ばせる人もいます。体型、体格、体力がそれぞれ違うのですから、構えも形もリズムも振り方も、どの要素もその人のオリジナルなのは自然なこと。良いスイングはプレーヤーの数だけあると思うと自信が持てます。

どれだけ練習してもペラペラな球を打ってしまうのが大半のアマチュア 写真:AC
どれだけ練習してもペラペラな球を打ってしまうのが大半のアマチュア 写真:AC

「ただし、どんな振り方であっても押さえるべきポイントはあります。そこがしっかりできているかどうかが、ゴルフを始めて何年経っても90台で回るのがやっとの人と上級者やプロとの大きな違いです」

 こう言うのは、プロゴルファーの奥山ゆうしさんです。奥山さんは現在、ビギナーから競技ゴルファーまで幅広いアマチュアへのレッスン活動をしています。

 押さえるべきポイントとは何なのか教えてもらいました。

「最も大事なポイントは、ボールをしっかりつかまえることです。実はアマチュアの方は、これができていない人が多いのです。たまにタイミングが合えばいい当たりをすることもあるが、ほとんどスライスかミスショット。その原因は、そもそもボールをつかまえるスイングが身についていないからです。ボールを体の正面でしっかりつかまえることができるようになれば、球筋が安定して飛距離も伸びます。スコアもぐっと縮まるはずです」

 ボールをつかまえるという表現は抽象的です。一体どういう振り方のことで、どうしたらそうできるのでしょうか。

「先ほど言ったように、体の正面でボールをとらえることによってボールをつかまえることができます。では、どうしたらそういうスイングができるかの前に、なぜボールをつかまえられない人が多いのかをお話しします」

「コースや練習場でレッスンしている時、ボールを打ったら私のほうを振り返って『今、開きましたよね?』と同意を求める生徒さんがよくいます。スイングをしている最中かボールを打った瞬間に体が開いたと感じるのにはだいたい3つのパターンがあり、いずれもボールをつかまえられていない場合がほとんどです」

「まず1つ目は、腕を振ることにばかり意識がいき、下半身がほとんど使えていないパターン。ボールをつかまえてより多くの力を伝えるには、バックスイングで得た回転を、ダウンスイング以降で下半身から巻き戻していかないとなりません。ところが、腕が優先的に振られるため下半身は一緒についていくだけ。体の面を“1枚板”と仮定すると、板ごといっぺんに左へ向けたのと同じです。すべてが開いているため捻転差が生まれず、ボールをつかまえることができません」

「2つ目は、1に加え、フェースまで開いてしまうパターン。ダウンスイングから手でクラブを振り下ろそうとするのにともない、右肩が下がって肩のラインが開き、振り遅れてしまいます。その結果フェースも右を向くためボールをつかまえることができません。下半身を使った=開いたではなく、スライス要素が二重、三重となって打球が右へ曲がるのです」

「3つ目は、下半身をしっかり使っているのに、ヒジが置き去りされて振り遅れるパターン。本来切り返しでは、右ヒジは右胸の前にくるものです。しかし左サイドから切り返すのはいいのですが、腕が振られないとヒジは胸の前ではなく肋骨の横にいってしまいます。せっかく下半身を使ってもこれではボールはつかまりません。超インサイドからクラブが入り、打球は右にしか行きません」

体の面を木の板ではなく柔軟性のあるゴム板と考える

 一般のアマチュアがボールをつかまえられないのは、ダウンスイングで上半身と下半身が一緒に左へ回転する、フェースが開く、振り遅れる、右ヒジが置き去りにされる、などが原因のようです。

「ボールをつかまえるスイングをするには、阻害要因を解消する必要があります。スイングを身につけるとき写真の1コマを切り取ってイメージづけをすることはあまり良くないのですが、分かりやすいようにインパクトの形をイメージしてみましょう。このとき、先ほどパターン1で体の面を一枚板と仮定しましたが、木の板ではなく柔軟性のあるゴム板を想像してほしいのです」

「ゴム板であれば上の辺、上半身にあたる部分を真っすぐ正面へ向けたまま、真ん中から下つまり腰から下にあたる下半身だけ左へひねることができます。これがインパクトでボールをつかまえられる形です。たまたまインパクトの一瞬を切り取ったときこのような形になっているのが理想であって、一連の動作のなかでこの1コマを作ろうと思ってもなかなかできるものではありません」

「プロの場合はもっとさかのぼって、手がトップの位置にいく前から切り返す準備をする選手もいます。一方、アマチュアの方が下半身を使うには、切り返しで下半身からダウンスイングを始めるといいでしょう。最初に腕を振り下ろすのではなく、左足を踏み込んだり、バックスイングで回した腰を巻き戻したりしてから腕を振るのです。すると肩のラインは正面を向き、腰のラインは斜め左へねじられる。この形ができるとボールをつかまえることができます」

「一枚板の状態で体ごと左へ向いてしまうのは、本当に開いているため、ほぼミスショットしか出ません。でも、この状態は体が開いているわけではありません。肩が残って下半身が左を向くのは、ベストな開き方といえます。むしろ下半身を止めてはダメなのです」

 一般アマチュアにはハードルが高そうです。ダウンスイングスイング以降を分解して、体をゆっくり動かしながらスイングチェックを繰り返せば身につくものでしょうか。最後に奥山さんは次のアドバイスをしてくれました。

「毎日、鏡の前でそれを行なうといいですよ。チェックを繰り返したら練習場へ行き、下半身を思い切り使いながら腕を振ってボールを打ちましょう。少しずつかもしれませんが、必ずボールをつかまえられるようになります」

【写真】これが奥山ゆうしプロが考える「右に行く人」と「真っすぐ飛ぶ人」の決定的な違いです

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奥山ゆうしのインスタグラム(@okuyamayushi)
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