池のロストボールは専門業者が潜水服を着て回収する
ゴルフ場関係者と話をしていたところ、「池でボールを拾う業者が今、すごく儲かっているらしいです。ロストボールがネット通販でめちゃめちゃ売れているみたいです」という話題になりました。
早速「ロストボール」と検索してみると、「ブランド混合 50個入り2338円」という商品や「25個入り×4袋100個セット4169円」といった商品が見つかりました。ボール1個あたりの単価を計算してみると、前者が46.76円、後者が41.69円です。
ゴルフボールは新品で買うと安くても1個100円以上、高い商品だと1個500円以上します。このくらいの価格帯であれば、初心者でも気軽に購入できます。
初心者はラウンドに行くとき「ボールをたくさんなくすから最低でも1ダース(12個)は持ってこいよ」などと言われますから、ゴルフショップでまとめ買いをすると持ち運びも大変です。自宅に配送してもらうためにネット通販を利用しているのでしょう。
ところで、このロストボールという商品はどういう仕組みで市場に流通しているのでしょうか。前述のゴルフ場関係者に聞いてみると、「ゴルフ場の池でボールを拾う業者が潜水服を着て潜って回収し、仕分けして販売しています」とのことでした。
ボールの回収はゴルフ場が業者に依頼するのでしょうか? それとも業者のほうから「ボールを拾わせてほしい」と頼んでくるのでしょうか?
「それは向こう(業者)から来ます。『いついつ潜りたいんですけどいいですか?』と連絡が来て、『この日の何時から何時だったらいいよ』という感じです」
池に潜る時間帯は、基本的には最終組がプレーを終えた後。2時間くらい潜ってボールを回収し、その後に仕分け作業を行ないます。ボールの種類や状態によってAランク、Bランク、Cランクといった具合に仕分けをし、持ち帰ります。
ひと昔前のゴルフ場は月曜日が休場日でしたから、休場日に業者が潜ることが多かったそうです。実はその姿を目撃したことがあるのですが、ゴルフ場の池にスキューバダイビングのような格好をした人がプカプカ浮いており、かなりシュールな光景でした。
ロストボール回収業者の仕入れ値はほとんどタダ?
ボールの回収と仕分け作業を終えた後は、どちらがどのようなフィーを支払うのでしょうか?
「それはまちまちですね。業者は(商品を)仕入れていますから『ありがとうございました』とお金を払うときもありますけど、ゴルフ場はボールを回収してもらっているので、『(お金は)いりません』というときもあります。あとはボールを置いていくこともあります」
ボールを置いていくというのは、池から回収したボールを謝礼品としてゴルフ場に寄贈するということです。
「状態のいいボールを5ダースくらい『使ってください』と業者が置いていき、『悪いね。ありがとう』と受け取って従業員や研修生がラウンドで使ったりします」
それ以外で業者がロストボールを仕入れる方法はあるのでしょうか。
「レイアウト上、どうしてもOBに行きやすいところはゴルフ場が回収しています。でも、そのボールを売っているという話は聞いたことがありません。自分のところの練習場で使うのがほとんどだと思います」
「ですからロストボールとして販売されているのは、ほとんどが池から回収したボールということになるでしょう」
ロストボールは池に入っていた期間が見た目だけでは分からないので性能にバラツキがあるという人もいますが、そもそも初心者はスイングにバラツキがあるのでミスショットがボールのせいなのかスイングのせいなのかも分かりません。
ボールをなくさずにプレーできるようになるまでは、潜水服を着て池に潜っている業者の方に敬意を表しながらロストボールを使用し、思う存分ボールをなくしましょう。それがまた業者の収入アップにつながります。