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アン・シネが涙の引退宣言 終盤戦の出場かなわず… 父が闘病中「これからは家族との時間を大切に」
「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」最終日、リランキングに向け上位進出が必須だったアン・シネは28位タイに終わり、終盤戦の出場はほぼ絶望的に。プレー後、ツアーからの引退を宣言した。
ファンを思って言葉に詰まり涙
◆国内女子プロゴルフ
ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 9月20~22日 利府ゴルフ倶楽部(宮城県) 6638ヤード・パー72
グッとこらえていた涙を抑えきれなかった。アン・シネが言葉を詰まらせて涙を流したのは、応援してくれている多くのファンとの別れを考えたときだった。
「日本に来てから多くのファンの方に支えられてすごく感謝しています。もうプレーを見せる機会がないのが寂しいです。この場で『ありがとうございました』と伝えたいです」
アン・シネが今大会を最後に引退すると決めた――。
大会最終日は悪天候によるコースコンディション不良で27ホール短縮競技となり、9ホールのみのプレー。暫定リランキング43位のアン・シネは、今大会終了後に行われる第2回リランキング突破(終盤戦出場)のためには単独3位が条件だったが、通算1オーバーの28位タイで終えた。
「この荒天の中でプレーするのは30年のプロゴルファー人生の中でも初めてでした。トップ3に入ろうと頑張ったのですが、自分の実力はここまでなのかなと…」
強い雨は朝から降りやまず、ほぼプレーが不可能な状態だったが、とにかく27ホールで競技を終えることを最優先。アン・シネもなんとか踏ん張ったが、「フェアウェイにも水たまりが多くて、ずっとスプーンを持っていた。アイアンが必要なかったくらい」と苦笑いした。
「引退セレモニーを派手にしたい気持ちはなかった」
終盤戦の出場はかなわず、ツアーには出られない。今後の身の振り方について聞くと表情からは笑顔が消えた。
「このあと決まった試合というのはありません。今週の試合が私にとって最後です。引退セレモニーも派手にしたい気持ちもありませんでしたし、日本ツアーで楽しい時間を過ごして、韓国に帰ることを心に決めていました」
つまりは今大会が現役として最後の試合。事実上の“引退宣言”となった。
また、5年ぶりの日本ツアー復帰となった今季についても振り返り「出場権を得た2019年のあとコロナ禍で日本に入ることができず、これでゴルフ人生が終わるのかと思ったら悔しくて、また日本ツアーに挑戦したかった。今年1年プレーしたことは正しい選択だったと思います」と笑顔を見せた。
Yahoo!検索大賞での受賞や写真集も発売
韓国ツアーでプロデビュー後、メジャー「KLPGA選手権」優勝を含むツアー3勝でトッププロの仲間入りを果たした。一方で、人目を引く外見やタイトなウエアの着こなしで“セクシークイーン”の愛称をひっさげ17年に初来日。韓国のみならず日本でも一気に時の人となった。
日本ツアーデビュー戦の17年「ワールドレディスサロンパスカップ」で初お目見えとなったが、GW開催やレクシー・トンプソンの出場などもあり、初日から1万人を超えるギャラリーが殺到。「アン・シネを一目見たい」というギャラリーの影響も大きかった。
同年12月の「Yahoo!検索大賞2017」の発表会では、アスリート部門賞を受賞。18年には写真集も発売し、ゴルフ以外の活動も活発だった。ツアー出場権の制度変更により19年にはプロテストに挑戦。一発合格で日本女子プロゴルフ協会の正会員となった。最高位は今年3月の「アクサレディス」の10位タイで、ツアー未勝利のまま日本を去ることは心残りかもしれない。
「今はゆっくりと休みたい」
イ・ボミやキム・ハヌルといった人気の韓国選手と共に、短い期間とはいえ日本女子ゴルフ界の人気をけん引する1人だったのは間違いない。まだ33歳。これからどんな人生を歩もうとしているのか。
「私も新しい人生を準備する年齢になりました。お父さんの体が悪くて、今も闘病生活を続けているので側にいる時間を作りたい。これからは家族との時間を過ごしたいです。第2の人生はゆっくり準備するつもりで、今は休みたいです」
日韓のゴルフファンを大いに楽しませてくれた“セクシークイーン”らしく、新たな人生も謳歌してもらいたい。
アン・シネ
1990年12月18日生まれ、韓国出身の女子プロゴルファー。2017年に日本ツアー初参戦すると、抜群の美貌とスタイルで注目を集め「セクシークイーン」の愛称で、日本の女子ゴルフ界に旋風を巻き起こした。24年、ツアーからの引退を宣言。
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