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優勝争い最終盤に生まれた“衝撃”チップイン! 左足上がりの強烈傾斜でも正確無比な超精密ショットが打てた理由

2025.05.30 小澤裕介
スーパーショット 吉田洋一郎 米国男子ツアー

PGAツアーの解説も務めるゴルフスイングコンサルタント・吉田洋一郎氏が、ツアーの第一線で活躍する選手のプレーを独自の視点で分析。今回は「チャールズ・シュワブチャレンジ」で2位に入ったマティ・シュミット選手が、最終日の18番で決めた“チップインバーディー”に注目しました。

今季4度目のトップ10入りを果たしたマティ・シュミット

 テキサス州のコロニアルCCを舞台に開催されていたPGAツアー「チャールズ・シュワブチャレンジ」。林によってセパレートされたコースで、枝がフェアウェイ側に覆いかぶさっているホールが多く、攻略にはショットの正確性が問われます。

 しかも大会期間中のフェアウェイ幅は30ヤード以下に絞られている所もあるうえ、グリーンは硬くて速いコンディション。フェアウェイからグリーン手前に着弾させてもボールの勢いが止まらず、奥まで転がってしまうシーンが何度も見られました。

「チャールズ・シュワブチャレンジ」を2位で終えたマティ・シュミット 写真:Getty Images
「チャールズ・シュワブチャレンジ」を2位で終えたマティ・シュミット 写真:Getty Images

 この難しいセッティングに加えて上空の風が強く、時には突風が吹き荒れることも。風の強さはパッティングにも影響を及ぼすほどで“我慢比べ”の展開となり、どの選手もスコアメイクに苦戦していました。

 そんな今大会で注目したのは、優勝したベン・グリフィン選手に1打差の単独2位でフィニッシュしたマティ・シュミット選手です。

 ドイツ出身のシュミット選手は2024年の「パリ五輪」にも出場した27歳。ツアー未勝利ですが、今シーズンはショットの巧さを表すスタッツ「SG(ストローク・ゲインド):アプローチ・ザ・グリーン」で37位とアイアンショットの正確性を武器に、今大会を含め4回のトップ10入りを果たしています。

「チャールズ・シュワブチャレンジ」では最終日最終組に入り、その武器を最大限に生かしてプレー。ただ、グリーン周りの巧さを表すスタッツ「SG:アラウンド・ザ・グリーン」は159位とショートゲームを苦手にしており、最終日もアプローチのミスでスコアを崩すシーンが見られました。

 最終日は6バーディー、6ボギー、1ダブルボギー。出入りの激しいゴルフで2オーバーという内容でした。

基本的には“傾斜なり”のアドレスがベター

 シュミット選手のハイライトは最終ホールのアプローチです。首位のグリフィン選手と2打差で迎えた18番(パー4・440ヤード)。ティーショットでフェアウェイを捉え、後がないシュミット選手は次打でピンを果敢に攻める決断をします。

 ピン位置は左サイド。グリーン左には池があり、右から風が吹いている難しいシチュエーションでもありました。しかし、プレーオフの可能性を残すためにはバーディーで上がらなければいけない状況。自慢のショット力でピンをデッドに狙った2打目は、ピン左にキャリーしてグリーン左サイドにこぼれます。あわや池ポチャというシーンでしたが、ボールは傾斜にとどまってくれました。

 しかし、ライは強烈な左足上がり。バミューダ芝のラフにボールは沈んでいなかったものの、ニアサイドのピンを狙う難度の高いアプローチが残りました。シュミット選手はフェースを開き、右足にほぼすべての体重を乗せて傾斜なりにアドレス。左足はカカトを浮かせてツマ先立ちしていました。

 この体勢から傾斜なりにアッパー軌道で打った球は高く上がり、ピン手前2.5メートルに着弾。ボールはカップに吸い込まれ、バーディー奪取に成功したのです。劇的なチップインで通算11アンダーにスコアを伸ばしましたが、グリフィン選手はパーでホールアウト。結果的に1打届かず、単独2位で試合を終えました。

 このアプローチから学べるのは、傾斜の立ち方です。ボールが沈んでいる状況であれば傾斜に逆らって立つ打ち方もありますが、基本的には“傾斜なり”がベター。傾斜に対して垂直にアドレスし、傾斜なりに振れるようにインサイド・アウトでヘッドを動かすことでダフリやトップのミスを防ぐことができます。

 反対の左下がりのライでも考え方は同じです。左足にしっかりと体重を乗せて傾斜なりに構え、傾斜なりにアウトサイド・イン軌道でヘッドを動かすとヘッドがスムーズに抜けてくれます。傾斜からのショットが苦手な人はぜひ参考にしてください。

マティ・シュミット

1997年生まれ、ドイツ出身。米・ケンタッキー州に本部を置くルイビル大学を卒業。アマチュア時代の2021年「全英オープン」で59位タイに入りローアマを獲得した。24歳でプロに転向しDPワールドツアー(欧州ツアー)に参戦。同年はわずか7試合の出場でシード権を獲得し、年間最優秀新人賞に輝いた。その後、PGAツアーに参戦。24年の「パリ五輪」にドイツ代表として出場(26位タイ)。25年は3月「プエルトリコオープン」6位、4月「コラレス・プンタカナ選手権」9位、5月「マートルビーチクラシック」7位と好調を維持し、同月の「チャールズ・シュワブチャレンジ」を2位フィニッシュした。

【解説】吉田 洋一郎(よしだ・ひろいちろう)

1978年生まれ、北海道出身。世界のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。デビッド・レッドベターから世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。毎年数回、米国、欧州へ渡り、ゴルフに関する心技体の最新理論の情報収集と研究活動を行っている。欧米の一流インストラクター約100名に直接学び、世界中のスイング理論を研究している。海外ティーチングの講習会、セミナーなどで得た資格は20以上にのぼる。

【動画】えげつない左足上がり… 強烈傾斜の難シチュエーション&最終ホールの勝負所で決めた“圧巻”チップイン これが実際の映像です
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