弟がABEMAツアーでアマチュア優勝！ 刺激を受けた山下美夢有が大逆転を狙う！

　弟の快挙をエネルギーにして、山下美夢有が、シーズン3勝目に挑む。

　ゴルフ5レディス2日目、山下のゴルフは出入りの激しい内容だった。1番パー4、3番パー5をバーディーとし、いい感じでスタートしたかと思えば、5番でトリプルボギーを叩いてしまう。

　自分のゴルフよりも、福島の試合が気になって仕方ない。近畿大学2年生、1つ年下の弟・勝将（まさゆき）さんが、男子下部のABEMAツアー「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま2022」で優勝争いしていたからだ。

「自分のプレーにあんまり集中できなくて。ずっと弟のことが気になっていました」と苦笑する波乱の18ホール。

　9番パー4、10番パー4の連続バーディーで盛り返した後は、13番パー5ではイーグルを奪取。さらに15、16番を連続バーディーとした後、18番はボギーでフィニッシュ。4アンダー68で回って通算5アンダー。首位に5打差の16位タイと逆転優勝も狙える位置に来た。

　今季2勝して全英女子オープンでも最終日まで戦った姉が、ホールアウトするちょうどその頃、弟は見事に勝利をつかんだ。レギュラーツアーでの優勝経験もあるハン・リー（米国）相手に2打差をつけて、3日間首位を守り抜いた完全優勝という見事な結果だった。

　ホールアウト後、これを聞いた山下は「まさか優勝するとは思っていなかったです。優勝できたのはすごいなと思いました。気持ちの部分でも私のこととか（周囲から）言われてきた中で、強いメンタルで勝てたのもすごいな、と思います」と言いながらも「まぁ、びっくりです」と、正直な気持ちを口にした。

　勝将さんは、日本ゴルフ協会（JGA）のプロフィールに、ハッキリとこう書いている。

「ゴルフを始めた動機：姉の影響。目標とする人：山下美夢有」。弟にとって、姉は身近だが、とてつもなく大きな存在であることがよくわかる。

　祝福メッセージを求められた姉は、少し照れながら、こう口にした。「優勝おめでとう。なんですかね。混乱して言うことがないんですけど」と笑った後、こう続けた。「優勝できたけど、ここからなのでもっと上を目指して頑張って欲しいです」。

　終わりなき厳しい道を歩む姉と弟のこれまでと、これからが浮き彫りになる祝福だ。シーズン2勝の姉は、ポイント制のメルセデスランキングでツアー1位を突っ走る。

　ここ2試合は2位、2位タイと優勝争いを続けており、狙うはシーズン3勝目。逆転優勝に向けて、弟の勝利が大きな刺激になったことは間違いない。

2001年8月2日生まれ、大阪府出身。2019年にプロテスト合格し、20－21シーズンからツアー参戦。初優勝を果たしたKKT杯バンテリンレディスだけでなく、シーズン16回のトップ10を記録。賞金ランキング13位と、ルーキーにして大きな結果を出した。宮里藍 サントリーレディスオープンでツアー3勝目を挙げた。加賀電子所属。