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“頭脳”の退職で揺れるリブゴルフ 日・韓・印を引き入れ体制固めのPGAツアー 23年の勢力争いどうなる?

2022.12.20 舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
リブゴルフ(LIV Golf) 砂場Talk(バンカートーク) 米国男子ツアー

飛ぶ鳥を落とす勢いに最近陰りが見えるリブゴルフ。シーズン終了とともに、NFL出身のやり手COOが退職するなど、内部で何かが起こっている気配がある。一方、対抗する側のPGAツアーは問題を抱えつつも盤石の態勢を整えつつある。

NFL出身のやり手が今季終了とともに退職したリブゴルフ

「今年の流行語」や「今年の重大ニュース」が賑やかに報じられるのは、日本の年の瀬の風物詩だ。

 これを「世界のゴルフ界」における2022年の「流行語」や「重大ニュース」に置き換えてみると、間違いなく上位入りするのは「リブゴルフ」である。

2022年のリブゴルフ最終戦でシャンパンファイトするキャメロン・スミス(左)とダスティン・ジョンソン 写真:Getty Images
2022年のリブゴルフ最終戦でシャンパンファイトするキャメロン・スミス(左)とダスティン・ジョンソン 写真:Getty Images

 22年6月に創設されたリブゴルフは、PGAツアーやDPワールドツアーからスター選手、有名選手を次々に奪い去り、年間8試合を盛大に開催することに成功。

 しかし、そればかりではなく、PGAツアーやDPワールドツアーへの敵対心を剥き出しにするかかのように訴訟を起こしてゴルフ界に喧噪をもたらしている。

 そして23年は、当初予定されていた年間10試合を14試合へ増やし、一気に拡大を図る計画を高らかに発表している。

 そうした一連の動きを見せつけられてきた今年は、リブゴルフの勢いが常に優位に感じられ、これまでゴルフ界を牛耳ってきたPGAツアーやDPワールドツアーは、新興勢力に押され気味の感があった。

 しかし、暮れも押し迫った今になって、飛ぶ鳥を落とす勢いだったリブゴルフに小さな揺れが見え始めている。

 創設初年度となった今年の年間8試合をすべて終えた直後の11月初旬、リブゴルフの頭脳となってきたアトゥール・コスラ―COO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)が辞任していたことが、今ごろになって米ニューヨーク・タイムズ紙によって報じられ、ゴルフ関係者を驚かせた。

 コスラ―氏は、米フロリダ州に本拠を置くNFLチーム、タンパベイ・バッカニアーズのブランディング・オフィサーとして辣腕を振るったことで知られており、リブゴルフのCOOに就任したのは2021年12月だった。

 以来、1年も経たないうちに辞任した理由は、今のところ、まったく明かされていないが、リブゴルフ関係者や選手には、NYタイムズ紙が報じる数日前に内々に伝えられていたという。コスラ―氏の辞任は、わざわざ選手にも事前に伝えるほどの重大な出来事であることが見て取れる。

23年のリブゴルフ14試合のうちコースが決まったのは半分

 リブゴルフ首脳陣の辞任といえば、かつてモーターレースのフォーミュラ1の運営において中心的な役割を担い、その功績を買われてリブゴルフのCCO(チーフ・コマーシャル・オフィサー)に就任したショーン・ブラッチェス氏も、ロンドン郊外でリブゴルフ初戦が開催された6月にすぐさま辞任し、リブゴルフから去っていった。

 今回、主要なオフィサーの2人目の辞任が明るみになったことで、米メディアは「リブゴルフ内部に何かしらの揺れや乱れが生じているのではないか?」と見ている。

 そういえば、2週間ほど前には、米カリフォルニアの連邦裁判所から提出を求められた書類から、リブゴルフの母体であるサウジアラビアの政府系ファンド、PIF(パブリック・インベストメント・ファンド)がプロジェクト・ウェッジなる壮大なスケールの未来図を描いていることが露呈し、そのプロジェクトの中で「リブゴルフ」や「グレッグ・ノーマン」は言及すらされていなかった。

 もしも、リブゴルフが何か大きな目的のための踏み台のようなものだとすれば、リブゴルフを率いるノーマンも、単なる見せかけのCEOにすぎないということになる。

 となれば、COOやCCOの存在は、さらに小さな「論外」ということになってしまいそうで、そのあたりの事情が2人のトップオフィサーの辞任と関係がありそうだと見られている。

 首脳陣の顔ぶれが揺れ始めているだけではなく、23年の開催地も今なお確保できておらず、こちらも揺れ気味だ。

 来年開催予定の14試合のうち、コースが確定しているのは、まだ半分の7試合に過ぎない。

 オーストラリアのグレンジ、シンガポールのセントーサ、スペインのバルデラマ、メキシコのエル・カマレオン、それにアリゾナ州のギャレリー、ウエストバージニア州のグリーンブライアー、オクラホマ州のシダーリッジが新たにリブゴルフ開催地に加わった。

 これらはリブゴルフにおいてはニューフェースだが、PGAツアーをはじめとする従来のゴルフ界においては、お馴染みのオールドフェースも含まれており、PGAツアーの古参コースを身内に引き入れたあたりは、リブゴルフの勢いの証なのかもしれない。

 しかし、ドナルド・トランプ氏のコースを除けば、快くリブゴルフに歩み寄る米国内のゴルフコースは決して多くはない様子。だからこそ、今年の年末段階で来年14試合のうちの半分しかコース確保に至っていないのだと考えられる。

 それが何を意味し、首脳陣の辞任が今後、何をもたらすのかは今はまだ不明だが、リブゴルフに小さな揺れが見え始めていることは明らかだ。

日本ツアーから欧州経由でPGAツアーへの道が開ける
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