物議醸すマキロイの“格上げ大会”欠場 4億円をふいにした事情を明かさないPGAツアーの“不透明性” | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

物議醸すマキロイの“格上げ大会”欠場 4億円をふいにした事情を明かさないPGAツアーの“不透明性”

先週行われたPGAツアーのRBCヘリテージ。年間12試合ある“格上げ大会”の1つだが、疲労困憊であるはずのマスターズチャンピオン、ジョン・ラームが出場して称賛を集めた一方で、ローリー・マキロイの欠場が物議を醸している。指定されたトッププレーヤーが格上げ大会を欠場できるのは例外として1試合が認められるのみであるにもかかわらず、マキロイは2試合目の欠場、しかも、格上げ大会創設の“言い出しっぺ”の1人でもあるからだ。

「トッププレーヤーが必ず出揃う大会をつくるべきだ」と主張

 マスターズ(米ジョージア州オーガスタ)を制し、グリーンジャケットを羽織ったジョン・ラームが、すぐさま翌週のRBCヘリテージ(米サウス・カロライナ州ヒルトンヘッド)に出場したことが、米ゴルフ界で大きな話題になった。

今年のマスターズもキャリアグランドスラムに挑んだものの、終始さえない表情に終わったローリー・マキロイ 写真:Getty Images
今年のマスターズもキャリアグランドスラムに挑んだものの、終始さえない表情に終わったローリー・マキロイ 写真:Getty Images

 その一方で、マスターズであえなく予選落ちしたローリー・マキロイが、RBCヘリテージへのエントリーを取り下げ、理由も告げずに欠場したことが物議を醸した。

 マスターズチャンピオンになったラームは、最終日の夜、表彰式、優勝会見、関係者との挨拶やディナー等々、真夜中まで恒例行事が続き、心身ともに疲弊していた様子だったが、それでも翌週のRBCヘリテージには予定通り出場した。

「僕がヒルトンヘッドに住むゴルフ好きの子どもだったら、マスターズで優勝したばかりのチャンピオンが地元で開かれる大会に来てプレーする姿を絶対に見たいと思う。それに大会側には、僕が出場する意思を今年始めごろには伝えてあった。僕は自分がコミットしたことに忠実でありたい」

 謙虚で真摯、そして子どもたちを思いやる優しさにあふれたラームの姿勢は、米国のゴルフファンから「さすがマスターズチャンピオンだ」と絶賛された。

 しかし、RBCヘリテージへのエントリーを取り下げたマキロイに対しては「いろいろな声」が渦巻いた。

 生涯グランドスラム達成をかけて挑んだマスターズで、見せ場もつくれないまま予選落ちという惨敗に終わったことで「心のダメージが深いのでは?」「体調を崩したのでは?」と、心配する声も上がってはいた。

 だが、またしてもマスターズで情けない結果に終わったことで「ふて腐れているのでは?」「やけを起こしているのでは?」と、マキロイの無言の欠場を批判する声のほうが圧倒的に多かった。

 RBCヘリテージは、今年からPGAツアーが開始している「格上げ大会」の1つだ。賞金総額2000万ドル級の格上げ大会は、今季は12試合あり(メジャー4大会とプレーヤーズ選手権は除く)、「トッププレーヤー」と定義されているフェデックスカップランキングの上位選手は、基本的には全12試合への出場が義務付けられている。

 そして、この義務を果たすことが、昨年のPIP(プレーヤーズ・インパクト・プログラム)のボーナスを満額で受け取るための条件とされている。

 例外として欠場が許されるのは1試合のみ。2試合以上を欠場して規定違反とみなされれば、昨年のPIPで得たボーナス金を満額で受け取ることができなくなる。

 昨年、スター揃いのリブゴルフに対抗するためには「PGAツアーにもトッププレーヤーが必ず出揃う大会をつくるべきだ」と主張し、格上げ大会の創設やPIPとの関連付けを考案して提唱したのは、何を隠そう、タイガー・ウッズとマキロイだった。

 しかし、マキロイは、すでに今年1月に格上げ大会のセントリートーナメント・オブ・チャンピオンズを欠場し、それに続いてRBCヘリテージも欠場。今回が格上げ大会2度目の欠場となった。

 言い出しっぺのマキロイが誰よりも先に格上げ大会をないがしろにするような行動を取ったことで、PGAツアーの選手や関係者、ファンの間には、動揺と憶測が広がっている。

「特別な事情があるなら、ツアーはそれを聞いているはずだ」

 コトの経緯が少々複雑なので、一旦、話をPIPに戻して説明させていただこう。

 PIPとは、選手の人気度や認知度、メディアやSNSへの露出度などをランキング化してボーナスを支払うPGAツアーのインセンティブ制度のこと。昨年は総額1億ドルがトップ20の選手たちに授けられ、1位に選ばれたウッズには1500万ドル、2位のマキロイには1200万ドル、最下位の16位から20位には各々200万ドル、さらに「2023年の新規定に該当した」ということで、松山英樹ら3名にも各々200万ドルが贈られることになった。

 ボーナス金の支払いは前期・後期の2段階。前期は今年1月のセントリートーナメント・オブ・チャンピオンズ終了後に額面の75%が支払われ、後期は今年の格上げ大会すべてが終了する8月以降に残りの25%が支払われる予定とされている。

 マキロイは1月に1200万ドルの75%にあたる900万ドルを受け取っているはずだが、今回、RBCヘリテージをスキップして格上げ大会を2度欠場して規定違反となり、残りの300万ドルを受け取る権利を失った。

 300万ドルは日本円にして約4億円だ。PGAツアー選手のジョエル・ダーメンは「大金持ちのローリーにとっては、どうでもいい金額だろう?」と冷ややかな視線を向けている。

 だが、ジャスティン・トーマスは「いやいや、300万ドルは誰にとっても大金だ。そのビッグマネーを捨てるだけの事情や理由が、もしもローリーにあったのなら、僕はそれを知りたい」と言っている。

 そして、リッキー・ファウラーやザンダー・シャウフェレは「ローリーに特別な事情や理由があるのだとすれば、PGAツアーはそれを聞いているはずだ。それを明かさないから、PGAツアーは不透明だと言われてしまう」と、不満や批判の矛先をPGAツアーにも向けている。

PGAツアーが透明性を欠くという指摘は以前から

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ローリー・マキロイのスイング(写真は2022アブダビHSBC選手権) 写真:Getty Images
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圧倒的な得票率でアンケート1位になったローリー・マキロイ 写真:Getty Images
インパクトで伸びるスクワット動作が特徴的なローリー・マキロイ 写真:Getty Images
切り返しが早くコンパクトなトップのジョン・ラーム 写真:Getty Images
突っ込み気味に見えても理にかなった動きの蝉川泰果 写真:Getty Images
クラブに仕事をさせてドローを打つ割合が多くなってきたタイガー・ウッズ 写真:Getty Images
今年のマスターズもキャリアグランドスラムに挑んだものの、終始さえない表情に終わったローリー・マキロイ 写真:Getty Images
ともにPGAツアーに背を向け、リブゴルフへと去ったダスティン・ジョンソン(左)とフィル・ミケルソン 写真:Getty Images
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