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ゴルフ史最大級40億円被害の真相(3) 難病ALSとも闘い判決を聞くことなく逝った“不屈の人”の無念【小川朗 ゴルフ現場主義!】
1000人以上が総額40億円にも上る被害を受けたゴルフ界を激震させた「ゴルフスタジアム事件」。発覚から7年にわたり取材を続けてきたゴルフジャーナリストの小川朗氏が、最終局面を迎えた事件の全貌をリポートします。1000人を超える被害者の中には、すでに亡くなった方もおり、被害者を守る会精神的支柱のような存在だった阿部進さんもその一人です。
GS・堀新社長に対して直接、経営者としての責任を追及
それでも要介護度が4に進行することが決まっていた19年3月26日、阿部さんは債権者集会への参加を決断。さいたま市の自宅からタクシーとヘルパーも頼んで駆け付け、GS・堀新社長に対して直接、経営者としての責任を追及したのは、このインタビューの3週間余り前のことでした。

事件発覚後、阿部さんは口癖のようにこう語っていました。
「ゴルフスタジアムのことも、ALSのことも、もっともっと世間に知ってもらいたい。だから何でも協力します。裁判にも、病気にも、あきらめずに向き合っていきます。ネバー・ギブアップですよ」
インタビューの席で自らを奮い立たせるように言ってから、阿部さんはふと顔を曇らせてこう続けたのです。
「あと、どれぐらい生きられるか分からない。6年前に離婚しまして籍は入れていませんが、一緒に住んでいる方がいます。でも、25歳の娘には負担をかけたくない。遺せる財産もありますが、(GSの)負債は残したくない」
在宅介護を選択した阿部さんは、車いすになってからも一人娘の文香さんを「飲もうよ」と呼び出しています。酒席ではまるで友達のように「他愛のない話」(文香さん)を肴に酒を酌み交わしていたそうです。
しかし20年に入ると、最悪のタイミングで新型コロナウイルスの感染が拡大。もともと時間がかかる日本の裁判にコロナ禍がブレーキをかけ、遅々として進まなくなります。
文香さんとのコンタクトも取れないまま、この年の7月4日に天へと召されてしまいました。まだ50歳という若さでした。
「事件のことも病気のことも、遺言書で知りました」と寂しそうに笑ってから、文香さんはこう続けました。「途中で病状を聞いたときに、ALSかな、とは思いました。でも肝心なことは言わない人でしたから」。
その後、文香さんは信販会社との和解を選択し、相続も済ませたことも明かしてくれました。
難病と闘いながら真相解明に立ち向かう阿部さんの姿は「不屈の人」の言葉がぴったり来ました。その頑張りはひときわ目を引き、被害者を守る会のメンバーたちの精神的支柱にもなっていました。

「精進孔球居士」。孔球はゴルフのこと。さいたま市浦和区の寺院墓地内にお墓に刻まれた阿部さんの戒名です。
「勝てると思う」と遺言書に書いたことからも、阿部さんがGSとの戦いに全力で挑んでいたことが伝わってきます。新薬誕生に賭けていた難病ALSの闘病生活にも、阿部さんは勝てると信じていました。しかし、結果的にはどちらも勝ち切ることができずに亡くなってしまいました。「あきらめない」と言い続けた阿部さんにとって、それはそれは……無念であったはずです。
【ゴルフスタジアム事件】
レッスンプロやゴルフ練習場などにゴルフスタジアム社の営業が訪問し、「HPを実質無料で作成運営できる」と説明。ゴルフスイング解析ソフトのローンを組ませたり、リース契約を結んだ後、月々の支払はHPへの広告掲載料を振り込むことで相殺していた。しかし2017年の2~3月頃から掲載料の振り込みがストップ。被害者は1000人以上、被害額も約40億円に達した。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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