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「振りやすいのに左も怖くない」 最新“青マナ”「Diamana BB」はなぜ支持される? スピン性能も検証

2026.05.28 石井建嗣
ゴルフギア シャフト たけちゃんが打つ! ドライバー 三菱ケミカル

タイガー・ウッズが使用した“青マナ”の系譜を継ぐ最新「Diamana BB」を試打検証。独自設計による振りやすさやスピン性能、現代ヘッドとの相性をクラブフィッターが詳しく解説する。

中元調子の“最もクセのない”スタンダードモデル

 今回は青マナ、赤マナ、白マナの愛称で親しまれる三菱ケミカル(以下、三菱)の最新“青マナ”です。

企画第3回は三菱ケミカル『Diamana BB』(53S)
企画第3回は三菱ケミカル『Diamana BB』(53S)

 ご存じの方も多いと思いますが、「Diamana(以下、ディアマナ)」の名を世界に轟かせたのは、全盛期のタイガー・ウッズでした。当時、世界ランキング1位の彼が使用していたことで大きな話題となり、その愛用シャフトこそが“青マナ”だったのです。今回は、その系譜を受け継ぐ最新シャフト「Diamana BB(以下、BB)」について解説します。(文・クラブフィッター・石井建嗣)

三菱ケミカル『Diamana BB』(53S)の振動数
三菱ケミカル『Diamana BB』(53S)の振動数

 まず、実際に測定した53S(50グラム台S)の振動数と、3球の弾道・計測値について触れます。測定条件は、長さ45.5インチ、ヘッドはピン「G440 MAX」で重量202グラム(スリーブ込み)のドライバーです。

 振動数は260CPM。ここがまず一つの重要なポイントになります。初回に紹介したベンチマークシャフト「ATTAS V2」(振動数255CPM)と比べると、5CPM高い数値です。実はこれは三菱シャフトの特性で、重量帯が違っても同フレックスなら振動数がほぼ変わらない設計を採用しているからです。

 具体例を挙げると、ATTAS V2は5Sが255CPM、6Sが260CPM。同じSフレックスでも重量が増すことで振動数が高くなります。基本的にカーボンシャフトは重量が上がるとカーボンの巻き数も増えるため、硬めに仕上がるからです。実際、三菱以外の多くのメーカーでは、5Sより6Sのほうが振動数は高くなっています。逆説的に言えば、三菱の設計思想はかなり特殊であり、それだけ技術力が高いとも言えます。

 今回のBBも、40グラム台から80グラム台まで、同フレックスであればほぼ同じ振動数に揃えられているため、一般的な5Sより高めの数値設定になっています。

 もう一点、三菱シャフトの特徴を挙げるなら、例外を除いて“手元が硬いシャフトが少ない”という点です。例外とはシニア向けやレディース向けなどの軽量モデルで、少なくともディアマナシリーズには該当しません。ディアマナのカタログを見ると分かりますが、「先調子」という表記はなく、すべて「中調子」から「元調子」の分類になっています(実際のカタログ表記はMIDやHIGH)。その中でも中元調子の割合が高く、BBも中元調子に分類されています。

BBの振りやすさが幅広いゴルファーにマッチするのは必然

 実際に打った感想ですが、個人的にはこれまで試打した中で最も振りやすいシャフトの一つでした。理由は二つあります。一つ目は、私が普段使用しているシャフトの振動数が262CPMで、それに近い点。二つ目は、何よりしなり感が非常に気持ち良い点です。もちろん個人的な感想ではありますが、フィッティングの現場でも「振り心地が良い」という声は非常に多いです。

 正直、個人的には“中調子”表記でも良いのではと思うほどですが、前述した通り、ディアマナシリーズは例外なく手元側をやや軟らかめに設計しています。その点を踏まえて“中元調子”という表現にしているのでしょう。

 なお、これまでの記事でも書いてきましたが、私自身は手元が硬めのシャフトをあまり得意としていません。一方でフェードヒッターなので、つかまりにくいシャフトも苦手です。その点、BBは手元が硬すぎず、それでいて意図的につかまえようと思えばしっかり反応してくれるため、非常に扱いやすい印象でした。

三菱ケミカル『Diamana BB』(53S)の試打データ
三菱ケミカル『Diamana BB』(53S)の試打データ

 実際、最後に打った球では少し意図的につかまえにいったところ、しっかりボールがつかまり、飛距離も伸びました。ちなみに近年のフィッティングデータでは、手元が硬いシャフトは「ヘッド位置が分かりにくい」と感じるゴルファーが多いことも分かっています。そうした意味でも、BBの振りやすさが幅広いゴルファーにマッチするのは、ある意味で必然と言えるでしょう。

 ただし、もちろんメリットばかりではありません。前述した通り、53Sの振動数は一般的な数値より高めに設定されているため、他社メーカーから移行した場合は硬く感じる可能性があります。

 また、これはゴルファーによってメリットにもデメリットにもなりますが、スピン量はやや少なめに出ます。私は元々スピン量が多く、飛距離をロスしているタイプなので、BBのスピン減少は良い方向に働きました。しかし、普段から2000RPMを切るようなロースピンヒッターの場合、球がドロップする可能性もあります。

 振り心地は良くても結果が伴わないケースもあり得るため、このシャフトを選ぶ際は必ず弾道データを確認すべきでしょう。

 適性としては、手元が硬いシャフトを好まず、それでいて素直なしなり感を求めるゴルファーや、意図的に弾道を操りたいゴルファーに向いています。また、一般的な中調子シャフトではスピン量が増えすぎ、飛距離をロスしている方にもお勧めです。

ストライクゾーンの広い中元調子

※本マトリクスは試打および計測結果をもとにした筆者個人の見解であり、性能を保証するものではありません。
※本マトリクスは試打および計測結果をもとにした筆者個人の見解であり、性能を保証するものではありません。

 最後にBBの特徴を改めて整理しておきます。ディアマナシリーズ3色の中で最も中間的な立ち位置にあるこのシャフトは、非常にストライクゾーンの広いモデルと言えます。特定の部分だけが大きくしなるわけではなく、全体がなだらかにしなるため、多くのゴルファーが「振りやすい」と感じやすいのです。

 ただ、その振りやすさがそのまま結果に直結するとは限りません。特にヘッドスピードが遅めのゴルファーは、打ち出し角を確保できなかったり、スピン量が少なすぎて球がドロップしたりする可能性があります。

 また、中元調子とはいえ、決して“つかまらないシャフト”ではありません。そのため、元々引っかけ癖があるゴルファーは、チーピンのリスクも考慮する必要があります。

 とはいえ、冒頭でも触れた通り、BBはあのタイガー・ウッズが使用した“青マナ”の後継モデルです。特に今作は、近年のドライバーヘッドの高MOI化や重量増加に対応するため、先端剛性を従来モデルより高めています。

 同時に、5Sは53.5グラムと過去モデルより軽量化されており、ヘッド重量増加に対して総重量が重くなりすぎないよう工夫されています。

 伝統の“青マナ”らしいタイミングの取りやすさを継承しながら、現代の大型ヘッドにも対応した味付けに仕上げられたBBは、まさに「不易流行」という言葉がふさわしいシャフトかもしれません。

【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)

香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。

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