- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ゴルフの豆知識
- 多様性の時代にそぐわない!? ゴルフ会員権の女性や外国人への入会制限は緩和される方向に進むの?
さまざまな分野で多様化が進む現代社会。でも女性や外国人のゴルフクラブへの入会に関しては、いまだに制限を設けているゴルフ場が多いのが現状です。今後、女性や外国人に対する入会制限の緩和は進んでいくのでしょうか。専門家に聞いてみました。
入会制限のあるゴルフ場が多いが少しずつ変化も
今年10月、出自を理由にゴルフクラブが入会を拒めるか否かが法廷で争われてきた問題で、新しい判決が出たというニュースをご存じの人も多いのではないでしょうか。
原告である元外国人籍の男性は、すでに2018年に日本国籍を取得済みでしたが、クラブは外国籍や元外国籍の会員数を制限しており、入会を断ったといいます。
名古屋高裁は、元外国籍であることを理由に入会を断られた男性の訴えを認め、岐阜県のゴルフ場に慰謝料など計77万円の支払いを命じました。
本件で慰謝料支払いを命じられたゴルフ場は、外国籍の会員は行動様式や風習が日本人とは異なり、受け入れる数が多くなり過ぎるとクラブの雰囲気が変わってしまうという理由から、理事会の申し合わせで外国籍の会員数を制限してきたといいます。
これに対し司法は、クラブの入会拒否は法の下の平等を定めた憲法14条に反する不合理な差別で、国際人権規約や人種差別撤廃条約にも反し、社会的に許容しうる限度を超えて違法と判断したとのことです。
ゴルフ場の入会拒否が社会問題として扱われるほど、いまだ一部のゴルフクラブでは女性や外国人に対する入会制限が残っているのが現状ですが、実際のところはどうなのでしょうか。四半世紀に渡り、ゴルフ会員権を専門に扱う加賀屋ゴルフ代表の前田信吾さんに、この辺の事情を聞いてみました。
「私の会社にも、もちろん外国籍のお客様が商談にいらっしゃいます。最近は日本の企業にも外国籍の役員の方が多数いらっしゃるわけですし、いつまでも『外国籍の方は入会NG』とはいっていられないでしょう」
「確かに“名門”と呼ばれるゴルフ場のなかには、いまだに外国籍や女性に厳しいい入会制限を設けているところもあります。でも、例えば相模原ゴルフクラブ(神奈川県)や総武カントリークラブ(千葉県)、清川カントリークラブ(神奈川県)などは、外国籍の方の入会制限を設けていないんですよ」と、前田さん。
「せっかく高いお金を払ってクラブに入会するのですから、クラブライフを存分に楽しみたいですよね。『外国籍の方にはご遠慮いただいています』なんていうクラブに無理やり入会したところで、クラブライフを心から楽しめるとはとても思えません。“ウェルカム!”といってくれるゴルフクラブは多数あるのですから、そういったゴルフ場を選ぶのも、一つの手だと思います」
数が少なく、割高な女性会員権のさまざまな問題とは
外国籍の方と同様、女性にも入会制限を設けているゴルフ場が多数見られます。
東京オリンピックのゴルフ競技で会場となった霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)が、五輪開催前に女性正会員の受け入れを容認したニュースは記憶に新しいところですが、依然として“名門”と呼ばれるゴルフ場の多くは、女性に対して、さまざまな入会制限を設けているのも事実です。
前田さんに女性会員について聞いてみると「現在もゴルフ場によっては、コース施設の問題や会則により、女性の入会について制限を設けている場合がありますね」
「入会制限の具体的な内容についてですが、例えば女性の入会は不可、女性の入会数に制限を設けている、女性名義の会員権からの譲受しかできない等々です」と、前田さん。
「一般的に女性会員権はもともと数が少ないため、男性に比べると会員権価格は圧倒的に割高です。ちなみに女性名義の会員権を男性に譲渡することは可能ですが、逆に男性名義の会員権を女性に譲渡することは、ほとんど場合、できないことになっています」
では仮に、ゴルフ場側が女性の入会制限をいきなり撤廃したら、どうなるのでしょう?
「入会時の制限内容や購入価格によっても状況は異なるのでしょうが、場合によっては裁判沙汰になってもおかしくないでしょうね。高値で買った希少価値のある女性会員権が通常の会員権として売買可能になるわけですから、女性側が財産を侵害されたといって立腹されてもおかしくないんじゃないでしょうか」
また女性会員の入会制限を緩和するためには、女性向けのファシリティを整えねばならないなど、ゴルフ場側が抱える施設面での問題もあるようです。
「そうですね。ゴルフ場によっては経営にも関わる問題ですし、その辺の考え方は本当にまちまちです。女性の入会制限の背景には、一筋縄ではいかない難しい問題があることは確かでしょう」と語る前田さん。
「そうはいっても、今後は時代の流れもありますから、女性はもちろん外国籍の方の入会制限も少しずつですが緩和されていくんじゃないでしょうか」
「名門ゴルフ場のどこかが入会制限を撤廃すれば、一気に広がる気もします。もしくは会員権価格の男女差がないゴルフ場の方がこの辺りの改革はしやすいでしょうから、どこかが始めてうまくいけば、あとに追随するゴルフ場が増えるのかもしれませんね」
「でも一番大事なことは、入会者の一人ひとりがクラブライフを盛り上げ、心からゴルフを気持ちよく楽しめる環境を一緒に作っていこうとすることだと、僕は思うんです。ゴルフ場には各々、そのクラブならではの伝統や文化が根付いています。そこを大切に考えてくださる方なら、外国籍の方だとか女性だとかは関係ない気がします」
【監修】加賀屋ゴルフ代表 前田信吾さん
ゴルフ会員権取引を行う加賀屋ゴルフ代表取締役。ここ10年は、2日に1回の割合でラウンドを楽しむゴルフの達人(2022年は年間203回!)。独自の視点を生かしたゴルフ場の比較&検討に定評アリ。
最新の記事
pick up
ranking