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謎が多すぎるオーガスタのメンバーシップ 会員数は? 会費は? 入会するには? 会員は大富豪ばかり? 松山英樹の他に日本人はいた?
毎年マスターズの時期になると、ゴルファーなら誰しも一度でいいからあそこでプレーしてみたいと思うだろう。しかし、よく考えてみれば、オーガスタナショナルも世界中にあまたある会員制のゴルフ場の一つであり、メンバーがいる。世界最高峰のコースを望めばプレーできる幸運な人々も世の中にはいるのだ。
「スマホNG」「寝転んではいけない」「靴を脱いではいけない」
“ゴルフの祭典”マスターズが近づいてくると、必ずといっていいほど話題になるのは、会場であるオーガスタナショナルGCに存在するちょっと不思議な決まりの話だ。

「携帯電話はNG」は、すでに広く知られていると思うのだが、それ以外にも、「走ってはいけない」「寝転んではいけない」「靴を脱いではいけない」といった決まりもある。
なぜ、こうした決まりが定められているのか。その答えも「明かさず」「語らず」というのがオーガスタナショナルの姿勢ゆえ、ずっとベールに包まれたままである。
しかし、オーガスタナショナルとマスターズの歴史や歩みを振り返りながら、その理由を推測することはできる。
今でこそオーガスタナショナルは世界中のゴルフファンが「一度は行ってみたい」と憧れる夢の場所になっているが、かつては財政難による経営危機に瀕した時期もあった。
しかし、さまざまな試行錯誤を重ねた末に、ようやく昨今のような眩い繁栄を得ることができたオーガスタナショナルは、だからこそ貧しい時代を支えてくれたパトロンやファンへの感謝を込めて、最高の舞台、最高の戦いを披露することを最優先と考えている。
人々に見せたいもの、見せるべきものは、美しい舞台と最高のゴルフ。その一方で、舞台裏の「見苦しいもの」は表に出さず、扉の内側に留め置くことがオーガスタナショナルのポリシーなのだろう。
そう考えると、「スマホNG」「寝転んではいけない」「靴を脱いではいけない」という決まりにも納得がいく。
プレーを見ずにスマホで通話したり、コースに寝転んだりしている姿は見苦しいからこそ、携帯はNG。ちなみに、ロープ内でメディアがうろうろする姿がTV中継に写り込むのも見苦しいということで、ゴルフの主要な大会では唯一、マスターズだけはメディアがロープ内に入ることが禁じられている。
そして、欧米では足の裏は靴の裏より汚いと見られることが多く、「靴を脱いではいけない」は「ちゃんと靴を履いて、足の裏を覆っておきなさい」ということなのだろう。
「見苦しいもの」「汚いもの」はさておき、オーガスタナショナルが舞台裏に留め置いているものは、それ以外にも多々ある。
オーガスタナショナルは営利法人だが、収支報告も株式に関する情報もマスターズのチケットの売り上げも収益も一切公表はされず、メンバーシップに関することの大半も謎に包まれたままとなっている。
とはいえ、近年は少しずつ漏れ聞こえてくる情報が増えつつある。もちろん、まだまだ推測の域を出ないことのほうが多いが、分かっている範囲で紹介しよう。
メンバーは300人前後、入会金は30万~50万ドル、年会費は3万~4万ドル
まずはオーガスタナショナルの歴史をざっと振り返ってみよう。
“球聖”ボビー・ジョーンズと実業家のクリフォード・ロバーツによって、オーガスタナショナルが創設・開場されたのは1932年のこと。当初、メンバーシップに関してロバーツが描いていた青写真は、入会金350ドル、年会費60ドル、家族会員(配偶者、子ども)は各15ドルを追加する形で総勢1800人ほどを集めるつもりだったそうだ。メンバー募集と同時にコース沿いの家々を販売して、収益を上げることも期待されていた。
しかし、創設メンバーとして集まったのは、わずか76人。世界大恐慌のあおりを受けて住宅の売れ行きも悪く、オーガスタナショナルは出だしから貧しい日々に直面した。
第2次世界大戦時は1943年から1945年までの3年間マスターズが中止され、戦後はすぐに再開されたものの、財政難はさらに悪化。オーガスタナショナルは経営破綻の危機に瀕した。
そんな折、1948年マスターズの観戦に招待された後の大統領、ドワイト・D・アイゼンハワーはオーガスタナショナルに一目惚れし、瞬く間にメンバーになったといわれている。1953年から61年の大統領在任中は、オーガスタナショナルを29回も訪れたことが大きな話題になった。
アイゼンハワー大統領がラウンドするたびに、どうしても気になった17番沿いの木を「切れ!」と命じたものの、オーガスタナショナルから拒否された逸話はあまりにも有名。「アイゼンハワー・ツリー」と名付けられ、オーガスタナショナルへの注目度は年々高まっていった(注:アイゼンハワー・ツリーは病気によって枯れたため、2014年に撤去)。
1960年代には、アーノルド・パーマー、ゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニクラスのビッグ3の活躍とあいまって、マスターズは世界的な大会へと成長していった。
そのおかげで、60~70年代は10ドル台だったウイークリーチケットの値段は、1980年には30ドルへ、1990年には125ドルへと高騰。タイガー・ウッズ黄金時代を迎えた2000年は325ドル、2010年は1000ドル、2015年は1750ドル、そして2019年は2000ドルという具合に青天井になっていった。
そんな経緯を経た中で、オーガスタナショナルのメンバーシップに関しても、さまざまな変化が見られた。
オーガスタナショナル創設者の一人であるロバーツが最初に思い描いた1800人体制はアッという間に夢と化し、以後、メンバーは「300人前後で維持されている」といわれている。
メンバーになりたくても自分から申請することはできず、メンバーからの推薦を得て初めて、その人物がメンバーになることの可否が審議される。つまり「自薦はNG、他薦のみOK」ということになる。
そして、メンバー枠に空きが出ない限り、新たな人物がメンバー入りすることはできず、「メンバーになりたい人リスト」は、長い長いウエーティング状態だともいわれている。
米経済誌「フォーブス」などの報道によると、入会時に求められるイニシエーション・フィー(入会金)は30万~50万ドル、年会費は3万~4万ドルと推定されている。
こうした条件をすべて満たし、晴れてメンバーとして承認されると、メンバーの証としてグリーンジャケットが授けられる。
ちまたではグリーンジャケットはマスターズ優勝者の証だと思われる向きがあるが、グリーンジャケットはあくまでもオーガスタナショナルのメンバーの証である。
そして、マスターズで優勝したチャンピオンはオーガスタナショナルの名誉メンバーとして迎えられ、名誉メンバーと正規メンバーは厳密に言えば異なるカテゴリーとされているのだが、メンバーとなることに変わりはないため、その証としてグリーンジャケットが授けられる。
その慣習が始まったのは、サム・スニードが優勝した1949年大会からだった。2021年大会覇者の松山英樹もグリーンジャケットを羽織り、日本人では唯一の名誉メンバーとなっている。
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